保育士という子どもたちの成長を支える仕事でも、残念ながら職場でのいじめは珍しくありません。無視や悪口、仕事の押し付けなど、様々な形のいじめに悩む保育士も多いのが現実です。
この記事では、保育現場のいじめの実態から、退職を決断する際の具体的ステップまで、あなたの新たな一歩を踏み出すための情報をお届けします。
- 保育士の職場いじめの種類や原因、いじめが続く職場環境の特徴
- いじめで退職を考える際の判断基準と、退職までの5つの具体的ステップ
- 直接退職を伝えるのが難しい場合の退職代行サービスの選び方と活用法
1.意外と多い!保育士のいじめ問題

保育士の職場でのいじめは、想像以上に多く存在しています。東京都が5年に一度行っている「東京都保育士実態調査報告書」によると、過去に保育士就業経験がある人への調査で保育士を辞めた理由が「職場の人間関係」が最多でした。
参考元:東京都福祉局 令和4年度東京都保育士実態調査結果の概要
子どもたちに優しく接する保育士が、同僚には全く異なる態度で接するというギャップに驚かれる方も多いでしょう。
保育現場でのいじめには、典型的なパターンがあります。

いじめられている保育士の多くは「自分に問題があるのでは」と思い込みがちですが、実際には問題はいじめる側にあることがほとんどです。
2.なぜ保育士がいじめを受けるのか?その理由とは

保育士同士のいじめが発生する背景には複数の要因があります。一見平和に見える保育現場でなぜいじめが起こるのか、その主な理由を見ていきましょう。
ストレスのはけ口
保育の仕事は、子どもたちのケアと教育に加え、保護者対応や事務作業など多岐にわたる業務を抱えています。慢性的な人手不足や長時間労働によって蓄積されたストレスは、時として同僚へのいじめという形で発散されることがあります。
特に自分より立場の弱い保育士や気が弱そうな保育士をターゲットにすることで、自分のストレスを軽減しようとする心理が働きます。人手不足が慢性化している職場では、このようないじめが長期化・深刻化しやすい傾向があります。
日々の業務で溜まったイライラを適切に発散できる環境や仕組みがないと、どうしても人間関係にそのしわ寄せが来てしまうのです。
保育観の相違からくる衝突
保育に対する考え方や方針の違いが、いじめのきっかけとなることも少なくありません。例えば、自由遊びを重視する保育士と、規律や集団行動を重視する保育士との間で考え方の衝突が生じることがあります。
このような保育観の違いは本来、互いに尊重し合うべきものですが、自分の考えが絶対だと思い込んでいる保育士が、異なる保育観を持つ同僚を否定し、排除しようとする行動に出ることがあります。
特に経験年数の差がある場合、ベテラン保育士が若手保育士の意見や提案を一方的に否定するといった構図が生まれやすいのです。
園の経営方針に合わない人材を排除したい
保育園の経営方針や園の文化に合わない保育士を、組織から自然と排除したいという意図から、いじめが発生するケースもあります。特に上司や園長がこのような意図を持っている場合、その保育士への厳しい指導や不当な扱いが組織的に行われることがあります。
例えば、園の方針に異議を唱える保育士や、改善点を指摘する保育士が「面倒な存在」とみなされ、意図的に居づらい環境を作られることがあります。このような場合、表立った解雇ではなく、本人が自ら退職するよう仕向けるための嫌がらせが行われるのです。
また、人間関係のしがらみが強い小規模な園では、園長や主任の「お気に入り」と「そうでない人」という区別が生まれやすく、お気に入りでない保育士が不当な扱いを受けることもあります。
3.いじめが続く職場環境に共通する特徴6選

保育現場でいじめが継続する職場には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を知ることで、自分の職場環境を客観的に評価し、改善の可能性や退職の判断材料にすることができます。
いじめが発生する環境の特徴 | 理由 |
---|---|
業務過多による余裕のなさ | 慢性的な人手不足や業務過多は、保育士のストレスレベルを高め、いじめを生み出す温床となります。業務量が多すぎると協力関係が育ちにくくなり、「あの人は手伝ってくれない」「この人は仕事が遅い」といった不満が蓄積していきます。 |
閉鎖的な職場環境 | 外部との交流が少なく、同じメンバーが長期間固定された閉鎖的な環境では、いじめが発生しやすく長期化する傾向があります。保育園は職員の入れ替わりが少ないため、一度形成された人間関係のパターンが固定化されやすいのです。 |
女性が多い職場 | 女性が多数を占める職場では、無視や陰口、仲間はずれなど、表面化しにくい形でのいじめが多く見られます。これらは「関係性攻撃」と呼ばれ、証拠が残りにくく解決が難しいという特徴があります。重要なのは、多様な価値観が尊重される職場文化を作ることです。 |
職員間のコミュニケーション不足 | 保育現場では忙しさからコミュニケーションが不足しがちです。適切なコミュニケーションがないと小さな問題が解決されないまま積み重なり、大きな対立に発展します。良好な職場環境のためには、職員同士が本音で話し合える機会が必要です。 |
雇用形態の格差 | 正規職員と非正規職員の間に待遇や責任の格差がある職場では、その格差がいじめの原因になることがあります。雇用形態による分断は「私たち」と「彼ら」という意識を生み出し、チームワークを阻害します。 |
経営者のワンマン体制 | 園長や理事長がワンマン経営を行っている保育園では、職員の意見が尊重されず、上からの圧力が下の職員同士の対立やいじめを生み出すことがあります。特に園長自身が保育士を攻撃すると、他の職員もそれに倣い、いじめの連鎖が生まれます。 |
4.保育士がいじめで退職を決断するまでの段階的アクション

いじめに悩む保育士が退職を考え始めたとき、いきなり決断するのではなく段階的に状況を見極めることをお勧めします。まずは退職すべきサインを確認し、適切な対応策を検討していきましょう。
退職を検討すべきサイン
以下のようなサインがある場合、退職を視野に入れることを検討してみましょう.

いじめと解決不能なパワハラの見分け方
解決困難ないじめやパワハラが続いている場合は、自分の心身の健康を最優先に考え、環境を変えることも選択肢の一つです。特に、上司自身がいじめに加担している場合や、組織全体がいじめを黙認している状況では、内部での解決は難しいと考えるべきでしょう。
自分の心と身体を守るための休職という選択肢
精神的ダメージが深刻な場合、いきなり退職するのではなく、まず休職を検討することも一つの選択肢です。休職により、回復を図りながら今後の進路を冷静に考える時間を確保できます。
休職を申請する際は医師の診断書が必要です。「適応障害」や「うつ病」などの診断がつくと、傷病手当金を受給できる可能性もあります。
5.いじめによる退職を円滑に進める5つのステップ

いじめが原因で退職を決意したのなら、感情的にならず計画的に進めることです。以下の5つのステップに沿って、あなたの権利を守りながら円滑な退職プロセスを実現しましょう。
ステップ1:証拠と記録を残す
退職の理由がいじめである場合、後々のトラブルを避けるためにも、いじめの証拠を収集・保存しておくことが重要です。

これらの証拠は外部に保存し、客観的な事実を中心に記録してください。
ステップ2:相談先を見つける
一人で悩まず、適切な相談先を見つけましょう。
- 信頼できる上司や同僚
- 労働基準監督署や労働局の総合労働相談コーナー
- 労働組合
- 弁護士や社会保険労務士
- 保育士専門の転職エージェントやキャリアコンサルタント
- 心理カウンセラーや医師
相談する際は、整理した事実や証拠をもとに、できるだけ客観的に状況を説明しましょう。
ステップ3:具体的な退職計画を立てる
感情に任せて即座に辞めるのではなく、具体的な計画を立てましょう.
退職アクション | 内容 |
---|---|
退職のタイミングを見計らう | 保育園の行事スケジュールを考慮し、有給休暇の消化計画を立てる |
経済的な準備をする | 退職後の生活費を確保し、失業給付の条件を確認する |
次のステップへの準備をする | 転職活動を始める時期を決め、必要なスキルアップの計画を立てる |
退職届の作成 | 退職日を明記した退職届を準備し、複数部用意する |
ステップ4:円満な退職交渉の進め方
退職の際には可能な限り円満に進めることが大切です。
- 適切なタイミングで冷静に退職の意思を伝える
- 退職理由は状況に応じて伝え、建設的な理由も添える
- 責任ある態度で引き継ぎを申し出る
- 法定の退職予告期間を守り、有給休暇の消化について話し合う
- 退職手続き(健康保険や年金、源泉徴収票など)を確認する
いじめが深刻で直接対面が難しい場合は、退職代行サービスの利用も検討してください。
ステップ5:精神的ケアと次への準備
いじめによる退職後は、精神的なケアと次のステップへの準備を進めましょう。
6.退職を言い出しにくければ「退職代行サービス」の活用がおすすめ
いじめが原因で退職を考えている場合、直接上司に伝えることに大きな精神的負担を感じるものです。そんなとき「退職代行サービス」があなたの代わりに退職の意思を伝え、必要な手続きをサポートしてくれます。
退職代行で得られるメリット
退職代行サービスを利用することで、いじめに悩む保育士はさまざまなメリットを得られます。精神的な負担軽減から専門的なサポートまで、退職代行がもたらす主な利点を見ていきましょう。

サービス選びの注意点と費用相場
選ぶ際のチェックポイント
- 運営元の信頼性(弁護士事務所が運営しているか、実績があるか)
- サービス内容の明確さ(どこまで対応してくれるか)
- 料金体系の透明性(追加料金が発生しないか)
- 対応の迅速さと丁寧さ
- 実績と口コミ
費用相場
- 一般的な退職代行サービス:20,000円〜30,000円
- 弁護士による退職代行サービス:40,000円〜60,000円
実際に退職代行がどんなものなのか、不安に感じる人もいるでしょう。そのような人のために、保育士が退職代行の利用を考えた際の疑問や、実際に利用した保育士の体験談が詳しく書かれた「保育士の退職代行体験談」「新卒一か月目の保育士の退職方法」の記事を公開していますので、ぜひ併せてご覧ください。
7.保育士におすすめの退職代行サービス3選
ここでは保育士の退職に特におすすめする3つのサービスをご紹介します。それぞれの特徴を比較して、あなたの状況に最適なサポートを見つけましょう。
セカステ

セカステは、保育士を含む様々な職種の退職をサポートする代行サービスです。24時間365日の相談受付体制と退職成功率99.9%の高い実績を誇ります。
LINEでの簡単な相談申込みが可能で、特に女性が多い職場での人間関係トラブルに精通しており、保育現場特有の問題にも元労務担当が適切に対応。行政書士が監修してくれます。
退職代行だけでなく、退職後のキャリア相談も充実しているのは嬉しいポイントです。
現在はキャンペーン価格21,800円(税込)で、追加料金なしの明朗会計かつ全額返金保証制度もあるため、いじめやパワハラで精神的に追い詰められている保育士や、対面での退職交渉に不安を感じる方に特におすすめのサービスです。
わたしNEXT

わたしNEXTは女性向けの退職代行サービスとして知られ、「女性が選ぶNo.1」「顧客満足度No.1」などの評価を獲得しています。女性特有の職場悩みに寄り添い、きめ細かいサポートが特徴です。女性カウンセラーによる精神的ケアも提供され、保育園特有の引き継ぎ問題にも対応。
退職成功率100%、全額返金保証制度も備えています。料金は正社員向けが29,800円(税込)と明朗会計で、退職後の転職サポートも無料で受けられます。
保育士の場合、子どもたちへの愛着や責任感から退職を躊躇する方も多いですが、そのような感情面のケアも含めてサポートしてくれるため、安心して利用できるサービスです。
弁護士法人みやび

弁護士法人みやびは、弁護士が運営する退職代行サービスで、法的な観点からの強力なサポートが特徴です。他の退職代行とは異なり、有給消化や未払い残業代、退職金など金銭請求の交渉が可能で、パワハラ・セクハラ時の損害賠償請求にも対応します。
弁護士が直接園に介入し、事務員ではなく弁護士が責任を持って対応するため安心です。料金は27,500円から77,000円(税込)とやや高めですが、万が一会社から損害賠償請求された場合でも法的に対処できる強みがあります。いじめやパワハラなど複雑な労働問題が絡むケース、金銭トラブルを伴う退職に特に適しています。
8.保育士がいじめから解放される道|退職決断からの再スタート

保育士の職場でのいじめは想像以上に深刻な問題です。しかし、いじめに悩んでいる保育士が自分を責める必要はありません。いじめは被害者の問題ではなく、いじめる側や職場環境に問題があるのです。
保育士としての経験やスキルは、どの職場でも貴重な財産です。いじめのない、あなたの能力を正当に評価してくれる職場で、子どもたちのために力を発揮できる日が必ず来ます。
自分の心身の健康を最優先に考え、必要であれば環境を変える決断をすることも必要です。退職を決意したものの直接伝えることが難しい場合は、退職代行サービスの利用も検討してください。