転職は人生の大きな決断の一つですが、転職先の会社や仕事内容が自分に合わないと感じて、すぐに辞めたくなることもあるかもしれません。
転職後すぐに退職することは、早期離職と呼ばれ、キャリア形成や経済面、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があります。転職を成功させるためには、事前の準備と適応力が不可欠です。
本記事では、早期離職のデメリットや原因を解説し、転職後すぐ辞めたくなった時の対処法をお伝えします。また、早期離職を防ぐためのポイントや、やむを得ず辞める場合の注意点についても触れていきます。
- 早期退職のデメリット
- 転職後すぐ辞めたくなる理由と対処法
- 転職を成功させるコツ
1.早期離職が与える3つのデメリット

転職してすぐに辞めることは、キャリア、経済面、メンタル面に大きなダメージを与えかねません。
ここでは、早期離職が招く3つのデメリットを具体的に解説します。転職を考えている人は、このリスクを理解した上で、慎重に行動することが大切です。
1. キャリアへの悪影響
転職後すぐに辞めると、履歴書上で短期間の在籍歴が目立ってしまいます。これは将来の転職活動で不利になる可能性があります。
採用担当者から、こう見られてしまうかも…
「仕事を続けられない人」
「我慢強さに欠ける人」
履歴書を見るだけで早期退職の事実は分かってしまうため、書類選考で落とされるリスクが高まります。
また、一つの会社で長く働くことで得られるスキルアップやネットワーク構築の機会を逃してしまうことになります。
キャリアの成長を考えると、早期離職は避けたいところです。
2. 経済的な損失
転職後すぐに辞めると、収入が途絶えてしまうため経済的に厳しい状況に陥ります。
特に、転職に伴う引っ越しや新生活の準備で支出が増える時期だと、貯蓄を切り崩さざるを得なくなるかもしれません。
また、判例によると、個人のスキルアップを目的とした公募制の研修や資格取得費用の貸付制度がある会社では、早期離職時にその費用の返還(弁償)を求められるケースがあるため注意が必要です。
ただし、会社が強制する業務研修について返還を求めることは原則として法律で禁じられています。
参考: いかり法律事務所「長谷工コーポレーション事件 東京地裁 平成9年5月26日判決」
PLAZA法律事務所「大成建設事件 東京地裁 令和4年4月20日判決」
全国労働基準関係団体連合会「富士重工業事件 東京地判 平成10年3月17日判決」
経済面のダメージを最小限に抑えるためにも、転職先での在籍期間はある程度確保したいものです。
3. メンタルヘルスへの悪影響
転職は環境の変化に適応するストレスが伴うものです。希望していた職場でうまくいかず、早期離職を選択した場合、自信を失ったり、無力感を感じたりと精神的に不安定になりがちです。
特に、転職を繰り返すうちに「自分には合う仕事がない」「どこでも長続きしない」といったネガティブな思い込みが強くなると、新しいチャレンジに臆病になる恐れがあります。
早期離職による精神的ダメージを防ぐには、自分に合った職場選びと、ストレス対処法を身につけることが大切です。
2.転職後すぐ辞めたくなる7つの理由
退職を検討するに至った主な要因
期待とのギャップ
職場環境や仕事内容の期待値と、実際の姿のギャップ
職場の人間関係
上司や同僚との人間関係やハラスメント被害
仕事内容の不一致
思っていた仕事と違う
適性の見極めの甘さ
自分のスキルや価値観と合わない居づらさ
働き方の違い
残業が多い、休暇が取りづらい、裁量が少ないなど
理想と現実のギャップ
転職に大きな期待を抱いていると、現実とのギャップにがっかり
メンタルの不調
職場での人間関係の悩みや仕事の忙しさから、メンタル面で不調をきたす
せっかく転職したのに、すぐに辞めたくなるのはなぜでしょうか。
ここでは、転職後に早期離職を考えてしまう7つの理由を紹介します。自分の状況に当てはまる点がないか、しっかり見つめ直してみましょう。
1.期待とのギャップ
入社前にイメージしていた職場環境や仕事内容と、実際の姿にギャップを感じることがあります。
求人票や面接で伝えられた情報は、あくまで会社側の理想であり、現実とは異なる場合があるのです。
期待外れを避けるには、入社前に社員の口コミをチェックしたり、実際の業務内容について詳しく質問したりすることが大切です。
2.職場の人間関係
新しい職場では、上司や同僚との人間関係に悩むことがあります。コミュニケーションの取り方が分からなかったり、パワハラを受けたりすると、すぐにでも辞めたくなる気持ちになるでしょう。
円滑な人間関係を築くには、相手の立場に立って考え、積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。我慢できないパワハラは、早めに上司や人事に相談しましょう。
3.仕事内容の不一致
思っていたのと違う仕事を任されることがあります。自分のスキルや経験が活かせない業務だったり、想像以上に忙しかったりすると、やりがいを感じられないかもしれません。
応募時に、業務内容や必要なスキルについて詳しく確認しておくことが大切です。入社後も、上司に適性をアピールし、希望する仕事に就けるよう積極的に行動しましょう。
4.適性の見極めの甘さ
自分の性格や価値観が会社の文化と合っていないと、居心地の悪さを感じます。がまん強さや協調性が求められる職場で、自由奔放な働き方を望んでいたら、すぐに限界を感じてしまうでしょう。
適性を見極めるには、自己分析が欠かせません。自分の強みや弱み、大切にしたい価値観を明確にし、それに合った職場を選ぶことが重要です。
5.働き方の違い
前職とは異なる働き方を求められ、戸惑うことがあります。残業が多い、休暇が取りづらい、裁量が少ないなど、自分のライフスタイルに合わない環境だと、ストレスが増大します。
働き方のミスマッチを防ぐには、面接時に労働時間や休暇制度、裁量の度合いなどを確認することが大切です。自分のワークライフバランスを大切にする姿勢を伝え、理解を得るよう努めましょう。
6.理想と現実のギャップ
「憧れの業界で働ける」「スキルアップできる」など、転職に大きな期待を抱いていると、現実とのギャップにがっかりすることがあります。
理想が高すぎると、些細なことでも不満に感じてしまいます。
転職先に過度な期待を持ちすぎないことが大切です。どんな職場にも長所と短所はあるもの。完璧を求めず、柔軟に適応していく姿勢が求められます。
7.メンタルの不調
職場での人間関係の悩みや仕事の忙しさから、メンタル面で不調をきたすこともあります。うつ状態などで心身の健康を損ねると、働く意欲を失ってしまいます。
メンタルヘルスを保つには、ストレス解消法を身につけることが重要です。睡眠を十分にとり、趣味の時間を作るなど、オンオフのメリハリをつけましょう。我慢できない状況は、早めに周りに相談することが大切です。
3.早期離職を防ぐための7つのポイント

ここでは、転職後に早期離職を防ぐ方法を7つのポイントに絞って紹介します。
1.転職先の徹底的な調査
入社前に、企業のホームページや口コミサイトで情報収集を行いましょう。社風や職場環境、求められるスキルなどを詳しくチェックすることで、自分との適性を見極められます。
説明会や面接では、気になる点を遠慮なく質問しましょう。有給休暇の取得率や残業時間など、数字で答えてもらうと、会社の実態が分かりやすいです。
2.適性の見極め
自分の強みや価値観を知ることが、適職選びの第一歩です。過去の経験を振り返り、どんな時にやりがいを感じたか、どんな環境だと力を発揮できたかを分析しましょう。
適性検査を活用するのも一つの手です。客観的なデータから自分の特性を知ることで、望ましい職種や働き方が見えてきます。
3.期待値のマネジメント
転職先に過度な期待を抱きすぎないことが大切です。「絶対にうまくいく」と思い込むのではなく、「うまくいかないこともある」と心に留めておきましょう。
理想と現実のギャップに直面した時、柔軟に受け止める心構えがあれば、すぐに離職したいという衝動に駆られずに済みます。
4.柔軟な姿勢
新しい環境では、今までのやり方が通用しないこともあります。「自分のやり方を貫く」のではなく、その職場のルールに合わせる柔軟さが求められます。
組織の一員である以上、会社の方針に従うことは避けられません。受け入れがたい慣習もあるかもしれませんが、「郷に入っては郷に従え」の姿勢で臨むことが大切です。
5.コミュニケーションの積極性
職場では積極的にコミュニケーションを取ることが欠かせません。業務のことだけでなく、プライベートな話題でも会話を交わすことで、良好な関係を築けます。
分からないことは何でも聞く、困った時は助けを求める、自分の思いを伝える。そんな積極性があれば、孤立することなく職場に馴染めるでしょう。
6.状況次第では第二の就活を始める
転職後にパワーハラスメント(パワハラ)に遭遇した場合は、事態の深刻化を防ぐため、早期の対応を検討することが重要です。
状況の改善が見込めない場合には、心身の健康を最優先し、速やかに次なるキャリア形成に向けた活動を開始することが現実的な選択肢となります。
具体的な対応としては、以下の方法が挙げられます。
パワハラ解決に向けた3ステップ
客観的な証拠の確保
言動の記録や録音など、事実を証明できる証拠を蓄積する。
適切な相談窓口の活用
社内のコンプライアンス窓口や、外部の専門機関へ相談を行う。
公的機関の利用
「労働局 総合労働相談コーナー」などの公的機関の活用を検討する。
公的機関の相談窓口に関する詳細は、本記事後半の「よくある質問 Q5.」に記載しています。
7.長期的な視点を持つ
働きやすさを重視するあまり、安易な転職を繰り返すのは賢明ではありません。多少我慢が必要でも、一つの会社で腰を据えて働く経験は、長期的に見れば必ず活きてきます。
スキルアップやキャリア形成のためには、継続した仕事の積み重ねが不可欠。一時の不満に振り回されず、将来を見据えて我慢強く取り組む姿勢が大切です。
4.やむを得ず早期離職する場合の対処法

どうしても早期離職せざるを得ない状況に陥ったら、どのように対処すべきでしょうか。
ここでは、早期離職を決意した場合の心構えと、具体的な行動指針を提案します。賢明な判断と適切な行動で、ダメージを最小限に抑えることが肝要です。
1. 冷静な判断
どうしても我慢できない状況なのか、冷静に見極める必要があります。一時の感情で決断すると、後悔することになります。
客観的に状況を分析し、他に解決策がないか考えましょう。改善の余地がまったくないと判断されるまでは、簡単に退職を選ばないことが賢明です。
2. 上司との相談
退職を決意したら、まずは直属の上司に相談しましょう。「このような理由で働き続けるのが難しい」と正直に伝え、円満に退職できる方法を探ってもらいます。
会社によっては、配置転換や勤務時間の調整など、柔軟な対応をしてくれるケースもあります。話し合いの余地を残すことが大切です。
3. 次の転職先の見極め
「今の職場を早く辞めたい」という思いが先走ると、次の転職先選びがおろそかになりがちです。しかし、早期離職を繰り返さないためにも、慎重に吟味する必要があります。
前回の反省を生かし、自分に合った職場の条件をしっかりと確認しましょう。
4. 前向きな姿勢
早期離職は後ろ向きな経験ではありますが、前向きに捉える視点を忘れてはいけません。
「合わない環境を我慢せずに行動を起こせた」という自信や、「自分に必要な職場環境が分かった」という気づきは、必ず今後のキャリアに生かせるはずです。
ネガティブな印象を引きずるのではなく、新たなスタートを切る機会と考えることが大切です。これまでの経験を糧に希望を持って転職活動に臨みましょう。
5.転職後すぐ辞めることに関するよくある質問(FAQ)

転職後すぐに辞めることには、多くの疑問や不安が伴います。
ここでは、早期離職に関してよく寄せられる質問を取り上げ、一つ一つ丁寧に回答していきます。
Q1. 転職後すぐ辞めるのは違法ではないの?
契約期間の定めがない限り、基本的には退職の自由(民法627条)が認められていますが、引継ぎの放置など信義則に反する行為は、稀に不法行為として損害賠償の対象となるリスクがあります。
Q2. 転職後の試用期間中に辞めても問題ないですか?
試用期間は、労働者と企業がお互いの適性を見極める期間です。双方の合意があれば、契約を解除することができます。
ただし、試用期間だからといって、簡単に辞められるわけではありません。信義則に反しないよう、社内規定に沿った適切な手続きと報告が求められます。
Q3. 転職先で適応できない場合、どうすればいいですか?
上司や先輩に相談し、改善策を探るのが第一歩です。どうしても合わないと感じたら、早めに転職活動を始めましょう。
その際は、前回の経験を踏まえ、慎重に企業選びをすることが大切です。
適性検査やキャリアカウンセリングを受けることで、自分に合った働き方や職種が見えてくるかもしれません。
Q4. 転職活動中に心がけるべきことは?
面接では、前職を辞めた理由を正直に伝えることが大切です。ネガティブな表現は避け、前向きな姿勢をアピールしましょう。
また、応募先の企業研究を入念に行い、自分との適性を見極めることが欠かせません。業界の動向や会社の評判など、情報収集に努めましょう。
Q5. 転職に関して相談できる機関はありますか?
以下のような公的機関の窓口が転職に関する相談に応じています。
| 相談先 | 内容 | リンク |
| 厚生労働省 相談窓口等一覧 | 就労や転職にまつわる窓口の一覧 | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/soudanmadogutitou/itiran/index.html |
| ハローワークの相談支援 | 個別相談・セミナー・適性検査など就労に関する各種案内 | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27742.html |
| 労働局「総合労働相談」コーナー | 職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供(多言語あり) | https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html |
そのほか、民間の転職支援サービスをご利用いただくことも可能です。
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6.早期転職を成功させるカギは慎重さと柔軟性

転職後すぐに辞めたくなる気持ちは誰にでもあるもの。大切なのは、一時の感情に流されずに、冷静に状況を見極めることです。まずは自分自身を見つめ直すことで、自分に合ったキャリアを見つけていきましょう。
働き方や適性のミスマッチに悩んだとき、一人で抱え込まずに支援を求める勇気も必要です。転職は人生の岐路ですが、どんな経験もきっと無駄にはなりません。
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