契約社員の退職は、正社員とは異なる独自の課題があります。契約期間中の退職には「やむを得ない事由」が必要とされ、退職代行サービスの利用にも制限がある場合があるのです。
しかし、制限があるだけであって契約社員でも退職代行サービスを利用して退職することは可能です。契約期間中だからと諦める必要はありません。
適切な方法を選べば、契約社員も安心して退職代行を活用できるのです。
本記事では、契約社員が退職代行を利用するためのポイントや、おすすめの業者を具体的に解説していきます。
- 契約社員が退職代行を利用できる3つの条件(契約開始から1年以上、やむを得ない理由がある、会社側の合意がある)
- 契約社員に適した退職代行業者の選び方と、具体的なおすすめ業者5選
- 退職代行利用時の注意点(満了金や失業保険への影響)
1.契約社員が退職代行を安心して利用できる3つのケース
契約社員が安心して退職代行を利用できるケースは3つです。

契約開始から1年以上過ぎている
契約期間が1年を超える契約社員には、労働契約法の規定により、途中退職の権利が認められやすい傾向にあります。契約開始から1年が経過した場合、やむを得ない理由がなくとも契約期間中の退職が可能となるでしょう。この場合、退職代行サービスの利用によって、トラブルを回避した円滑な退職が実現できます。
契約満了前の退職申し出においても、労働組合や弁護士が運営する退職代行サービスの活用が有効となります。
特に弁護士による運営サービスでは、契約社員特有の雇用主との対立を未然に防ぎ、安全な退職へとつながることが期待できるのです。
参考:厚生労働省 労働契約法(◆平成19年12月05日法律第128号)
【やむを得ない理由】がある場合
「やむを得ない理由」としては、以下のような場合が挙げられます。
このような理由があった場合は、退職代行の活用により、会社との円滑な交渉が可能となるでしょう。
会社側が退職に合意した場合
契約社員が退職を希望した際、会社側がその意向に合意する場合があります。これにはいくつかの理由があります。
業務の終了
担当プロジェクトや業務が終了段階を迎えた場合、会社側の合意を得やすい傾向にあります。特にプロジェクトベースでの雇用契約においては、業務終了と契約終了が自然な形で結びつくことが多いのが特徴です。
企業の経営判断
経営状況の変化や組織再編により、契約社員の継続雇用が困難となるケースも存在します。このような状況下では、会社側から退職への理解が得られやすく、円滑な退職手続きが実現できるでしょう。
労働環境の改善
労働環境や人間関係に起因する退職希望に対し、会社側が状況改善の一環として退職を容認するケースも見受けられます。このような場合、会社は従業員の意向を尊重し、円満な退職への支援を行う傾向にあるのです。
2.契約社員は退職代行を利用できない可能性があるのはなぜか

契約社員が退職代行サービスを利用できない場合があるのは、雇用契約の性質に起因するものです。
一般的な契約社員は、契約期間が定められており、その期間中の退職には雇用主の合意が求められます。さらに、労働契約法では、契約社員は「やむを得ない事由」がない限り、契約満了前の一方的な退職が困難とされているのが現状です。
参照元:e-Gov検索「労働契約法第十七条 契約期間中の解雇等」
また、通常の退職代行業者が対応できるのは、退職意思を伝える代理行為に限られています。雇用主との交渉を含む場合には、弁護士資格が必要です。
特に契約社員が期間途中での退職を希望する際、法的なサポートが必要になることが多く、労働組合や弁護士が運営する退職代行サービスを利用するのが望ましいとされています。
退職代行サービスを利用する際には、業者の選定に慎重な判断が求められます。弁護士や労働組合が提供するサービスであれば、法的に適切な方法での交渉や退職手続きを進められるため、契約上のトラブルを防げます。
3.条件に合わなくても任期満了前に契約社員が退職代行利用できるケース

労働基準法第15条に「明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者は即時に労働契約を解除できる」とあります。つまり、「雇用契約書や入社時の説明」と「実際の労働条件」に大きな違いがある場合、契約社員であっても退職代行を利用して退職することが可能です。
特に、採用・退職の出入りが激しい企業においては、こうした状況が頻繁に見られ、退職代行を利用した即時退職が認められるケースが多くあります。この条項を活用すれば、契約社員でも安心して退職手続きを進められるのです。
参照元: e-Gov 法令検索「労働基準法第十五条 労働条件の明示」
4.実際に退職代行を利用した契約社員の体験談
退職代行サービスを実際に利用した契約社員の声を集めました。様々な状況下で退職を決意し、退職代行を活用して新たな一歩を踏み出した方々の経験は、同じ悩みを抱える契約社員の方にとって貴重な参考になるでしょう。
それぞれの事例から、退職代行利用の効果や注意点を具体的に見ていきましょう。
事務員|25歳女性
入社1年目、職場の先輩からのパワハラがエスカレートして毎日が地獄でした。直属の上司に相談しても『我慢して』の一言。日曜の夜は翌日への恐怖で眠れず、頭痛や胃痛も頻繁に。
もう限界と感じた時、友人から退職代行を勧められました。退職代行に無料相談してみると、『もう出社しなくて大丈夫』と言われ涙が止まりませんでした。依頼翌日には退職が完了し、書類も郵送対応、デスクの私物は代理の人が回収してくれました。人生で初めて『自分を守る選択』ができました。今は新しい職場で生き生きと働いています。」
ITエンジニア|27歳男性
契約社員として大手IT企業で3年間、月80時間もの残業をこなして頑張ってきましたが、正社員登用の話は出ず。
残業続きで食生活も乱れて体調も崩し始めた頃、退職を申し出ようとしましたが、上司から『お前がいないとプロジェクトが回らない』と引き止められた同僚を見て言い出せませんでした。
藁にもすがる思いで退職代行に相談。『契約社員だから』という不安もありましたが、プロジェクト途中でも問題なく退職できました。今は残業なしの職場で、エンジニアとしてのスキルアップと健康な生活を両立しています。」
調理スタッフ|33歳女性
保育園の調理スタッフとして3年働きましたが、ベテランスタッフからの嫌がらせがエスカレート。体調を崩し始め、休みも取れない状況でした。
退職を申し出れば更に嫌がらせが増えると怯え、退職代行に相談。『契約社員でも即日退職できますよ』との言葉に救われました。
依頼翌日から出勤せず、全ての手続きを代行してもらえたのが本当に助かりました。今は心身共に回復し、人間関係を重視した飲食店で新たな調理の仕事を始めています。あの時思い切って退職代行を利用して良かったです。
5.契約社員の退職代行業者おすすめ5選
退職を決意することは、誰にとっても大きな決断となります。特に契約社員の方は、様々な不安や制約を抱えているかもしれません。
ここでは、そうした悩みを抱える契約社員の方々に向けて、豊富な実績と信頼性を持つ退職代行業者5社をご紹介します。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に最適なサービスを選んでみてください。
セカステ

セカステは株式会社バックエンドが運営する退職代行サービスで、行政書士監修のもと信頼性の高いサポートを提供しています。
おすすめポイント
- 行政書士監修のもと、適正な業務遂行
- 社会保険給付金と失業保険関連の相談可能
- 24時間365日の即日対応
- 全額返金保証制度あり
24時間365日の即日対応体制を整え、LINEやメール、電話など利用者の希望に合わせた連絡手段で相談可能です。
特徴的なのは、退職後のアフターフォローも充実している点です。社会保険給付金や失業保険関連の相談にも対応し、数十万円規模の給付金を受け取り損ねるケースを防ぎます。
料金は2025年8月までのキャンペーン価格で21,800円(税込)と、手厚いサービス内容ながらリーズナブル。全額返金保証制度も完備されており、無料カウンセリングでじっくり相談した上で利用を決められます。
利用者からは「内向的な性格でも安心して退職できた」「翌日には退職が完了し、スムーズに転職活動に移れた」など、高い評価を得ています。
退職代行Jobs

「手続きは最短30分、24時間対応、即日退職連絡可能」が魅力の退職代行サービスです。
おすすめポイント
- 弁護士監修の退職代行サービス
- 労働組合との連携
- 24時間対応
- 現金後払いOK
- 会社への出社や連絡は不要
- 有給休暇の無料申請サポート
- 退職できなければ全額返金
- 全国対応
- 無料の求人サービスで転職活動もフォロー
- 弁護士や労働組合のサポート
退職代行Jobsは、弁護士監修と労働組合の連携により、安全で確実な退職をサポートする退職代行サービスです。
費用は27,000円(税込)と、弁護士監修サービスとしては業界最安値レベル。追加料金は一切なく、現金後払いにも対応しています。
手続きは最短30分で、24時間365日の即日対応が可能です。会社への出社や連絡は不要で、有給休暇の申請サポートも無料。さらに、全国対応で退職完了までのフォローに期間制限はなく、退職後の転職活動もサポート。
労働組合と連携しているため、必要に応じて会社との交渉も可能です。万が一退職できなかった場合は全額返金保証付きですが、過去の退職完了率は100%を誇っています。
利用者からは「スムーズな退職ができた」「対応が丁寧で安心できた」と高い評価を得ています。
退職代行ガーディアン

キャッチフレーズに「労働組合法人があなたを守る!」を掲げる退職代行サービスです。労働組合法人であるため、弁護士や労働組合のサポートを受けることができます。
おすすめポイント
- 労働組合法人であり、弁護士や労働組合のサポートを受けられる(合同労働組合が運営)
- 退職届の提出や貸与品の返却は郵送でOK
- 代理人として交渉可能
- 合法的に確実に退職
退職代行ガーディアンは、25年以上の労働組合運営の歴史を持つ東京都労働委員会認証の合同労働組合が運営する退職代行サービスです。
費用は全国一律24,800円で、追加料金は一切不要。退職代行後のトラブル(出社強要、書類未交付、嫌がらせなど)にも全て対応し、労働組合だからこそできる会社との交渉もサポートします。
即日退職にも対応でき、その日から出社不要。退職届や貸与品の返却も郵送で完了できます。また、代理人として法律に基づいた交渉が可能なため、就業規則で定められた退職予告期間に関係なく、スムーズな退職を実現できます。
退職後も組合員として無料で相談可能で、万が一の労働トラブルにも組合が全面的にバックアップ。25年以上の豊富なノウハウで、確実な退職をサポートします。
OITOMA

退職代行OITOMAは、労働組合「日本通信ユニオン」が運営する弁護士監修の退職代行サービスです。
サービスの特徴は以下の通りです。
おすすめポイント
- 即日退職可能
- プライバシーを保護して退職手続きをすべて代行、会社との直接的なやり取りが最小限に
- 弁護士や労働組合との連携・サポート、契約社員が退職する際に発生するトラブルに対応可能
費用は業界最安値級の24,000円(税込)で追加料金は一切不要。後払いにも対応し、万が一退職できなかった場合は全額返金保証付きです。
即日退職に対応し、24時間いつでも相談可能。電話やLINEでの相談は回数無制限で、退職完了までしっかりサポートします。
顧客満足度96%、総退職代行数5000人以上という豊富な実績があり、退職成功率は100%を誇ります。
行政書士東京中央法務オフィスと提携しており、残業代請求や労働問題のサポートも可能。弁護士監修の退職届テンプレートが無料でもらえ、必要書類は全て郵送で対応できるため、会社と顔を合わせることなくスムーズな退職が実現できます。
弁護士法人みやび

弁護士法人みやびは、正社員はもちろん、契約社員やアルバイトなど、雇用形態を問わず安心して利用できる弁護士運営の退職代行サービスです。退職代行業務はすべて弁護士が直接対応し、法律の専門家として契約社員特有の課題(契約期間や退職時期の制限など)も適切にサポート。
料金は27,500円から77,000円(税込)で、有給休暇の消化や残業代、退職金の請求交渉も可能です。24時間LINEやメールで無料相談を受け付け、退職後のサポートも無期限で提供。一般の退職代行業者では対応できない金銭請求も、弁護士ならではの専門知識と交渉力で実現。
パワハラ被害の損害賠償請求にも対応でき、契約社員の権利を法律の専門家として守ります。万が一のトラブルにも法的に対応できる、安心と信頼の退職代行サービスです。
退職代行サービスは、他にも多くのサービスがございます。私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から厳選した、「おすすめの退職代行サービス10選」はこちらからご確認できます。
6.契約社員の退職代行利用における注意点
契約社員が退職代行を利用する際の注意点は、下記の2つです。

満了金が受け取れない可能性
契約社員の場合、契約期間が満了して退職する際に「満了金」を受け取れることがあります。
任期途中で退職する場合においては、支給対象外となるケースが多いです。
満了金の支給は契約内容や会社の規定に依存しており、期間途中での退職では満了金や退職金の支給を強くは期待できません。また、退職代行サービスを通じて退職する場合、特に契約条件に沿って退職を申し出なかったことで満了金を受け取れない可能性が増すため、契約内容を事前に確認することが重要です。
失業保険受給への影響
失業保険(雇用保険)の受給には特定の条件があり、「契約社員として雇用保険に加入していること、かつ退職前に加入期間が12か月以上あること」が必要です。しかし、退職理由が「自己都合」なのか「会社都合」なのかで受給タイミングが異なります。
一般に自己都合退職では給付が最大3か月後に開始され、期間も短くなりますが、退職理由が会社都合の場合は即座に受給開始が可能です。
退職代行を使った場合、失業保険をスムーズに受け取るためのポイントは「会社都合退職」として認定される理由を証明することです。ハラスメントや健康上の理由、給与未払いなどがあれば、労働基準監督署に申告し、会社都合と認定してもらうことが可能です。
弁護士や労働組合が関与する退職代行を選ぶと、こうした認定手続きもサポートしてもらえる場合があります。
7.契約社員の退職代行業者の選び方

契約社員に適した退職代行業者の選び方として必要な視点について解説します。
- 契約社員にも対応しているか確認する
- 弁護士監修で非弁行為がないか確認する
- 料金と対応範囲を確認する
契約社員にも退職代行対応しているか確認する
契約社員の場合、正社員とは異なる契約内容や退職条件が適用されるため、代行業者がその特殊な状況に対応できるかどうかを確認することが重要です。契約社員特有の課題(例えば契約満了前の退職希望や有給休暇の処理など)に柔軟に対応できる業者を選べば、スムーズに手続きが進みます。
また、信頼できる業者の選定には、利用者の口コミや実績の確認も有効です。業者によっては、弁護士や労働組合がサポートしているところもあり、契約満了前のトラブルや残業代請求にも対応してくれます。こうしたサポートがあると安心です。
弁護士監修で非弁行為がないか確認する
弁護士監修で非弁行為がないかどうかを確認することは、法的なリスクを避けるうえで重要です。
非弁行為とは、法律上、弁護士資格がない業者が代理交渉を行うという意味で、違法です。退職代行サービスの一部では、弁護士が監修していると謳うものの、退職意思を伝える以外の法的交渉を行えないケースも多くあります。
未払い賃金や有給取得などの交渉が必要な場合には弁護士に直接依頼するか、労働組合運営のサービスを利用する方が安全です。
弁護士監修の退職代行業者を選ぶ際は、サービス内容が適法であり、必要なサポートが得られるかをしっかりと確認することをおすすめします。
契約社員の退職代行料金と対応範囲を確認する
退職代行サービスは大きく分けて、一般企業、労働組合、弁護士監修の3種類の運営母体があり、それぞれ料金相場と対応範囲が異なります。
一般企業のサービスは比較的安価で、主に退職意思の伝達に限定されるため、その他の対応を求める場合には適していません。労働組合のサービスは有給消化や残業代請求など、幅広い対応ができるため、コスパが高いのが特徴です。
弁護士監修のサービスは法的なトラブル対応も可能ですが、一般的に料金が割高になります。料金と対応範囲については、事前によく確認してください。
8.契約社員が退職代行を利用する際のよくある質問
ここからはセカステ編集部より、契約社員の退職代行に関するよくある質問にお答えします。
契約満了前に辞めると違約金や損害賠償を請求されることはありますか?
原則として、契約満了前の退職でも「やむを得ない事由」がある場合や契約開始から1年以上経過している場合は、違約金や損害賠償を請求されることはありません。ただし、突然の退職によって会社に実質的な損害が生じた場合は、損害賠償を求められる可能性もあります。
弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを利用すれば、こうしたリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
退職代行を使ったことが家族に知られることはありますか?
退職代行サービスは高いプライバシー保護を重視しており、業者側から家族に情報が漏れることはありません。また、会社が親元や家族に連絡を入れるケースを心配されるかもしれませんが、退職代行会社は企業側に「本人以外への連絡禁止」を明確に伝えることで、そのリスクを防止します。
退職代行サービスの担当者との打ち合わせの際には「本人以外への連絡禁止」の旨を忘れずに伝えておきましょう。
退職を伝えた後、会社から直接連絡が来ることはありますか?
退職代行サービスを利用する際、「会社からの連絡拒否」を依頼できるため、基本的に会社から直接連絡が来ることはありません。万が一、会社から連絡があっても、対応する義務はないため無視しても問題ありません。
書類の郵送先確認や手続きの案内などは全て退職代行業者を通して行うことができます。
会社に置いてある私物を回収するにはどうすればいいですか?
私物の回収方法は退職代行サービスによって異なりますが、多くの場合、3つの選択肢があります。
- 郵送対応(会社側が私物を梱包して送付)
- 代理回収(退職代行業者が代わりに回収)
- 指定した第三者による回収(友人や家族など)
一般的な会社では郵送対応するところが多いです。
9.契約社員でも退職代行を利用できる!安心して次のステージに臨もう

契約社員の退職は、正社員以上に慎重な対応が求められます。退職代行サービスを利用する際は、自身の契約条件や退職理由を確認し、適切な業者を選ぶことが重要です。特に弁護士や労働組合が運営する退職代行サービスを選ぶことで、より安全に退職手続きを進められます。自身の権利を守りながら、新たなキャリアへの一歩を踏み出しましょう。