退職を申し出たのに会社から過度な引き止めや嫌がらせを受けるなど、退職トラブルに悩む方は少なくありません。実際、約19%の人がスムーズな退職ができていないと感じています。
本記事では、退職時に遭遇しやすい7つのトラブルパターンと、その効果的な対処法を解説。法的知識から円満退職のステップ、メンタルケアの方法まで、あなたの後悔のない次のキャリアへの一歩をサポートします。
- 退職時に企業が行う可能性のある7つの不当行為と、それぞれへの具体的な対処法
- 民法で保障された「退職の自由」など、会社の不当な要求から自分を守るための法的知識
- 退職を決意してから円満に退職するまでの5つのステップと、メンタルを守る実践的な方法
1.退職トラブルとは?現代の退職事情と発生頻度

退職トラブルとは、労働者が退職を申し出た際に、会社側から不当な引き止め、嫌がらせ、書類発行の拒否、損害賠償請求などのスムーズな退職を妨げる妨害行為が発生する問題全般についてを指します。
総合型転職エージェントである株式会社ワークポートが2024年に実施した調査によると、退職を経験した人にスムーズに退職できたかを尋ねたところ、「あまりそう思わない」(15.5%)、「まったくそう思わない」(3.4%)、両者を合わせると18.9%に上ることが分かりました。
参考:株式会社ワークポート「退職時のトラブル」に関する実態調査
退職時にトラブルが起きやすい理由には、会社を辞めること=甘えとする精神論的な企業風土 や、書類発行や退職手続きなどを曖昧に扱う企業体質に多いようです。また、退職トラブルは、法律への理解不足だけでなく、企業と個人の価値観のズレからも生じています。
退職トラブルが増加している現代の背景
近年、転職市場は活性化しており、より良い環境を求めて転職するケースが増えています。特に20〜30代はキャリアの柔軟性を重視する傾向が強く、早期退職や第二新卒としての再スタートも珍しくありません。
世代間のキャリア観の違いも、退職トラブル増加の一因です。若い世代は「自分らしい働き方」や「プライベートとの両立」を重視する傾向があります。一方で上の世代は「我慢して続けるのが社会人」という価値観を持っていることが多く、このギャップが退職時のトラブルを生む原因となっています。
また、コロナ禍以降の働き方改革も、退職の動向に影響を与えています。テレワークなどの柔軟な働き方が浸透したことで、「今の職場に固執しなくてもいい」と考える人が増えました。その一方で、企業側は時代の変化に対応しきれず、旧来の管理体制が退職トラブルを引き起こす一因となっています。
2.退職時に直面する7つの主要トラブルとその実態【リアル体験談】

ブラック企業や旧態依然とした企業文化では、労働者がスムーズに退職できないケースが少なくありません。ここでは、体験談を交えながら実際によく報告される「退職時に直面する7つの主要トラブル」について解説します。
1. 上司からの強引な引き止めとプレッシャー
退職を伝えた途端、「辞められると困る」「周りに迷惑がかかる」など、上司から強いプレッシャーをかけられるケースは少なくありません。こうした言動は、恩義や罪悪感に訴える情的引き止め、 暗に評価を下げたり裏切り者扱いする言動、 「退職=逃げ」というレッテルを貼る…などが挙げられます。
実際にトラブルに遭った方の声を見てみましょう。
実際の体験談として、「退職の話をした途端、会議で無視されるようになった」「評価を下げると脅され、退職の話を撤回させられた」などの事例があります。こうした行為はパワハラに該当する可能性があるため、録音や記録を残しておくことで、後に有利に働くことがあります。
2.退職の申し出を受け入れてもらえないケース
退職の意志を明確に伝えているにもかかわらず、「まだ検討中」「上に伝えていない」などと言われ、手続きを進めてもらえないケースもよく見られます。明確な返答を避け、話をうやむやにして時間稼ぎをするのが典型的な手口です。
退職届を提出しても「受理しない」と言われたり、話し合いの場すら設けてもらえず放置されたりする場合は、適切な対応をとりましょう。退職届は内容証明郵便やメールで再提出し、証拠を残してください。また、記録を取りながら、労働基準監督署や労働局への相談も視野に入れることが重要です。
3.引き継ぎ業務の過度な要求
退職の意思を伝えると突然、「すべての業務をマニュアル化して」「後任が育つまで続けてほしい」といった過剰な引き継ぎを求められるケースがあります。また、通常業務に加え、大量の引き継ぎ資料作成を求められたり、異動や他部署の業務まで押し付けられたりすることもあります。
「合理的な引き継ぎ」とは、自分の担当業務を誰でも理解できるように整理することです。業務一覧や関係者リスト、スケジュールの共有など、「最低限困らない範囲」で十分です。 過度な要求はもはや退職ハラスメントと言えるでしょう。
4.退職日の一方的な延長要請
「辞めるなら後任が見つかってからにして」「今は繁忙期だからもう少し残ってほしい」など、一方的に退職日を延長されるケースも少なくありません。退職を引き延ばされることで、転職先の内定を辞退せざるを得なくなり、キャリアに重大な影響を及ぼす可能性があります。
民法第627条第1項により、退職の意思表示を行ってから2週間で契約は終了します。しかし、就業規則によってはもっと前から退職意思を示すように規定している企業もあるため注意が必要です。就業規則で定められている場合は、基本的には就業規則に沿いましょう。
しかし、そもそも退職自体に会社の承諾は必要なく、後任を探すのは企業の責任です。また、繁忙期だからというのは退職を断る理由にはなりません。
5.退職金や有給休暇の不当な取り扱い
退職時の「最後の報復」として、退職金や有給休暇の消化に関する不当な対応を受けるケースも珍しくありません。例えば、「会社への貢献が不十分」として退職金の減額をしたり、支払いに応じなかったりする。 「忙しいから」と言って残存有給の消化を拒否する。備品の返却遅れなどを理由に、給与から一方的に控除を行う…といった事例が挙げられます。
退職金制度が就業規則や契約書に明記されている場合や、慣例的に支払いが行われていた場合は、企業に支払い義務があります。また、有給休暇の取得は労働者の権利であり、消化を拒否することは違法です。
6. 退職後の競業避止・機密保持の過剰要求
退職後も「うちの情報を外に出すな」「同業には転職するな」など、過剰な制約をかけられることがあります。よくある要求としては、元の会社と競合する業種や企業への転職を禁止する、機密情報の保持に関する誓約書への強制的な署名 を求める、「競業避止に違反したら損害賠償請求をする」との脅しをかけるなどが挙げられます。
競業避止義務は契約書に明記されていたとしても、制限が過度であれば無効になる可能性があります。また、退職時に誓約書へのサインを求められても、納得できない場合は拒否することが可能です。不当な圧力をかけられた場合は、弁護士など専門家への相談が有効です。
7.同僚や取引先への悪評や悪い噂を流される
退職後、会社や上司が退職者の評判を落とすような言動を取るケースもあります。例えば、「勝手に辞めた」「トラブルメーカーだった」といった噂を流すのは、よくある嫌がらせです。
また、あからさまなものは少ないですが、SNSなどで退職者を非難する投稿をするなど、風評被害に関するトラブルも発生しています。さらに、転職先に直接連絡し、悪印象を与えようとする行為にも注意が必要です。特に同業への転職や独立の場合、過剰にライバル視され、前職の人が足を引っ張ろうとするトラブルに見舞われることが多い傾向にあります。
法的な観点では、こうした行為は名誉毀損や業務妨害に該当する可能性があります。証拠を確保すれば損害賠償請求も視野に入れられるため、自分の評判や将来を守るために、毅然とした態度で対応することが重要です。
3.退職トラブルから身を守るための法的知識

退職時のトラブルを防ぐには、法的根拠に基づいた対応が何より重要です。労働者には法律で守られた「退職の自由」があり、会社が設定するルールには限界があります。ここでは、ブラック企業の引き止めや嫌がらせに屈しないために必要な法的知識を解説します。
退職の自由と法的な保証
民法第627条第1項では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」とされています。
すなわち、期間の定めのない雇用契約(正社員など)の場合、退職の意思を示してから2週間後に契約が終了します。会社の許可は不要です。退職届を提出すれば法的には退職が成立します。会社が受け取りを拒否した場合でも、内容証明郵便やメールなどで意思を示せば有効です。
一方、期間の定めがある契約(契約社員など)の場合は、原則として契約期間満了まで働く必要があります。しかし、病気やパワハラなど「やむを得ない事情」がある場合は、中途退職が認められることもあります(民法第628条)。
正社員のいわゆる「2週間ルール」は、労働者を守るための制度なので、しっかり理解して活用しましょう。パワハラや精神疾患などがある方は、中途退職について適切に動くのがおすすめです。具体的には、医師からの診断書を取得したり、会社から不当な扱いを受けている場合は証拠を集めた上で弁護士等に相談することで解決につながります。
有給休暇の権利と退職時の取り扱い
有給休暇は労働基準法に基づく労働者の権利です。退職前に残った有給休暇をすべて消化することは法的にも認められています。
会社は「業務に著しい支障がある場合」にのみ、有給の時季変更を求めることが可能です。ただし、退職が決まっている場合には、時季変更権を原則として行使できません。そのため、退職日を有給消化の最終日に設定することで、会社に出勤せずに退職することも可能です。
一方で、業務への支障が著しい場合には、退職が決まっていても時季変更権が認められる可能性があります。
退職時に会社が請求できる内容と限界
退職時に「損害賠償を請求する」「研修費用を返還しろ」などと会社から不当な要求をされるケースがありますが、多くの場合は法的根拠のない脅しです。退職時に会社が請求できるケースは以下に限られています。
・研修費用
就業規則や契約書に「退職時に研修費用を返還する」との明確な規定があり、なおかつその費用が合理的な金額である場合
・損害賠償
労働者の故意または重過失によって会社に損害を与えた場合
基本的に、「辞めたから会社が損失を被った」という抽象的な理由では、損害賠償請求は認められません。また、退職時に未払い賃金や退職金から一方的に天引きすることも原則違法です。
留学後2年半で退職した者に学費の返還を会社が求めた長谷工コーポレーション事件(東京地判平9・5・26)では、以下のような留学前に会社と個人間で定めた誓約書が判決の決め手となりました。
誓約書の内容は以下のとおり。
① 留学先へ渡航後は、学業に精励し、必ずや学位を取得し卒業すること。
② 卒業後は、直ちに帰国し、会社の命じるところの業務に精励するとともにその業績目標達成に邁進すること。また、会社の留学生の名に恥じないような見識を備えるべく日々努力すること。
③ 帰国後、一定期間を経ず特別な理由なく会社を退職することとなった場合、会社が海外大学院留学に際し支払った一切の費用を返却すること。
会社は退社したXに対し、支出した留学費用のうち学費分約470万円の返還を求めて提訴した結果、裁判所は会社の返還請求を認めました。
このような判例はかなり珍しいものであり、一般的な業務研修や社内研修の費用返還を求めるケースでは認められないことが多いです。研修費用の返還が認められるのは、特殊かつ高額な専門研修で、返還条件が合理的な場合に限られます。
もし不当な請求をされた場合は、会話を録音する・書面で証拠を残すなどして、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
4.円満退職を実現する5ステップの実践法

「できれば揉めずに退職したい」「次の職場にも悪い印象を残したくない」と考える方にとって、円満退職は理想の形です。ここでは、円満退職を実現するための5つのステップを解説します。
退職の意思決定と退職日の設定
まずは、「本当に辞めるべきか」「いつ辞めるのが適切か」を整理しましょう。自身の心身の状態やキャリアビジョンを見直し、転職先の内定や採用時期、金銭面の準備なども考慮します。家族やパートナーにも事前に相談しましょう。
退職日を決める際は、有給休暇の残日数を考慮しながら最終出勤日を逆算します。転職先との調整も必要です。なお、退職日を月末に設定すると翌月の社会保険料が発生するため、自身の状況に照らし合わせて判断しましょう。
上司への退職の伝え方と交渉術
退職の伝え方によって、引き止められるか、スムーズに受け入れられるかが大きく変わります。繁忙期や重要な業務の直前は避け、可能であればメールではなく直接面談で伝えましょう。
【伝え方】
・「一身上の都合で、○月末をもって退職させていただきたく、お時間をいただきました」
・「業務には支障が出ないよう、しっかり引き継ぎも行います」
【引き止められた場合】
・「ありがたいお言葉ですが、すでに退職の意志は固まっており、次の準備も進めています」
このように、感謝を伝えつつ、ブレずに丁寧に対応することが大切です。
退職届の正しい書き方と提出手順
口頭で退職の意思を伝えた後、正式に意思を伝えるためには、書面による退職届の提出が必要です。
【退職届の基本フォーマット】
・タイトルに「退職届」と記載
・「一身上の都合により、○月○日をもって退職いたします」という旨の文章
・日付
・自身の所属部署
・氏名
・署名
・押印
・宛名(会社名・代表取締役名)

必ず退職届のコピーを保管し、上司と引き継ぎスケジュールを確認するようにしましょう。
円滑な引き継ぎの進め方と完了基準
引き継ぎを怠ると、罪悪感を抱いたり、退職後にトラブルを招いたりする可能性があります。まずは自分の担当業務をリストアップし、優先順位をつけて整理しましょう。後任者がスムーズに業務を引き継げるよう、マニュアルや業務フローを作成することが重要です。
引き継ぎ完了の目安は、「誰が」「何を」「どう進めるか」が文書で明確になっている状態です。また、上司や後任者から「引き継ぎが完了した」という確認を得てください。
退職後に問い合わせが発生しないよう、十分な準備を行いましょう。
退職日までのマインドセットと職場での振る舞い
退職が決まると、「どうせ辞めるから」と気が緩みがちです。しかし、退職日までの印象は今後のキャリアにも影響します。退職日までのカウントダウンを意識しながら、次につながる経験として業務に取り組みましょう。
退職まで誠実に業務を行い、お世話になった人へ感謝を伝えることも大切です。円満退職とは、単にトラブルなく退職するだけでなく、「最後まで責任を持ち、周囲に良い印象を残す」ことでもあります。
5.もしトラブルになったら?7つの効果的な対処法

ブラック企業や古い体質の職場では、退職時に理不尽な対応を受けることもあります。ここでは、そんなトラブルに直面した際に冷静に対処し、自分を守るための7つの具体的な方法を解説します。
冷静に対応するための感情コントロール術
理不尽な対応を受ければ、怒りや不安が湧くのは当然です。しかし、感情的に反応すると事態が悪化する可能性があります。まずは深呼吸し、冷静さを保ちながら対話を続けましょう。
また、日記やメモを活用して気持ちを整理するのも有効です。自分の感情を言葉にすることで、ストレス軽減にもつながります。あるいは、状況を第三者の視点で観察するつもりで書き出すと、客観的に判断しやすくなります。
上司との効果的な交渉と説得の技術
感情を抑えたうえで、論理的かつ誠実に伝えることが重要です。例えば、以下のような方法が有効です。
・Win-Win型の提案:
「○○も大切だと思いますが、私にとっては××が重要です」と、双方にとって納得できる着地点を探る。
・Yes, but構文:「おっしゃることは理解できますが、私には○○という事情があります」と、相手の意見を否定せずに自分の主張を伝える。
また、声のトーンや姿勢、視線などの非言語コミュニケーションも意識すると、より説得力が増します。
同僚や人事部を味方につける関係構築
問題を一人で抱え込まず、社内に味方を作ることが大切です。愚痴ではなく、事実ベースで状況を共有すると、周囲の理解を得やすくなります。
また、人事部にも「相談」として情報提供することで、対応を期待できる場合があります。非公式でも、信頼できる同僚に「証言者」になってもらうと、心理的な安心感につながります。
証拠を残す重要性と具体的な方法
トラブルの際、証拠があるかどうかで交渉の主導権が変わります。以下の方法で、確実に記録を残しましょう。

・メールやチャットの保存
送信日時や発言者が分かる形でスクリーンショットを保存する
・文書化する
口頭で指示を受けた場合、「念のため確認ですが……」といった形でメールを送信し、内容を記録に残す
・会話の録音
自分が当事者であれば、録音は合法(ただし、使用時の注意は必要)
証拠があるだけで、交渉を有利に進められます。
社外の専門家に相談するタイミングと選び方
自分だけでは対応が難しいと感じた場合は、専門家の力を借りることを検討しましょう。法的対応や損害賠償、退職無効などについては弁護士がおすすめです。一方で、労務管理や就業規則に関する相談は社労士が適しています。
専門家を選ぶ際は、労働問題を専門に扱っているかを確認し、無料相談の有無や実績、口コミをチェックしましょう。また、相談時には証拠を持参し、状況を整理して伝えることが大切です。初回相談が無料の事務所もありますが、本格的に依頼する場合は5万円以上の費用がかかる可能性があることを想定しておきましょう。
労働基準監督署や労働局への相談手順
会社が違法行為や不当な対応をしている場合、公的機関に「申告」することは有効な手段です。最寄りの労働基準監督署(労基署)や労働局の窓口で、状況を説明しつつ証拠を提示しましょう。その後、監督署が企業に是正勧告を出したり、調査を行ったりする場合があります。
匿名での電話、メール、窓口による「相談」も可能です。ただし、これらの方法ではアドバイスにとどまり、行政上の強制的な是正措置が取られるわけではありません。また、労働局が提供する「あっせん制度」(第三者が仲介し、労使間の話し合いをサポートする制度)を活用することも可能です。
退職代行サービスの活用法と選び方
「もうこれ以上会社と直接関わりたくない」「一人では対応しきれない」と感じた場合、退職代行サービスの利用を検討しましょう。
【退職代行サービスの種類】
・一般業者:退職の申し出と手続きの代行を行う
・弁護士型:法的交渉も可能
・労働組合型:団体交渉権を持つ
退職代行サービスは、精神的な負担を軽減し、安全に退職するための有効な手段です。選び方のポイントは、「口コミ・実績」「料金体系」「サービスのスピード・対応の質」の3つを重視しましょう。特に退職後のトラブルを防ぐため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
しかし、過剰なサービスは料金が高額化するだけなのでおすすめできません。会社から損害賠償請求されそう…といったトラブルが起きそうなときは弁護士が運営する退職代行がおすすめですが、5万~10万円程度の基本料金+別途成果報酬が必要なケースもあるため注意が必要です。
単純な退職の申し出や手続き代行を求めている場合は、民間企業が運営する退職代行なら、リーズナブルな価格で利用できるのでおすすめです。

6.メンタルを守りながら退職する方法

退職を決めると、多くの方が罪悪感を抱きがちです。しかし、退職は自分を守るための選択であり、将来につながる前向きな決断です。ここでは、メンタルを守りながら退職する方法を解説します。
退職時の心理的負担を軽減する考え方
退職に伴う不安や罪悪感は、「誰かの期待に応えるために働く」という意識が強いために生じます。この考え方を、「自分の人生のために決断する」という視点に切り替えることで、気持ちがポジティブになります。
また、ネガティブな思考が浮かんだ際には、小さな達成感を積み重ねることで自己肯定感を保つよう心掛けましょう。「逃げた」と捉えるのではなく、「自分で選んだ」と考えるだけでも、心が軽くなります。
ストレスに負けない心身のケア方法
メンタルの不調は、身体のケア不足と密接に関係しています。退職に向けて精神的な負担を減らすためにも、以下のように生活習慣を整えましょう。

・睡眠:最低6時間、毎日同じ時間に寝起きする
・食事:栄養バランスの取れた食事を意識する
・運動:軽い運動を習慣にする
また、アロマや音楽、温かいお風呂などでリラックスする時間を作るのも効果的です。さらに、1日30分でも自分だけの時間を確保し、趣味を楽しむこともメンタルを守る助けになります。
家族や友人のサポートを得る方法
一人で抱え込むと、ストレスはどんどん増してしまいます。家族や友人に自分の状況を伝え、サポートを得ることも大切です。その際には以下のポイントを心掛けましょう。
・「アドバイスがほしい」ではなく、「ただ話を聞いてほしい」と伝える
・すべてを理解してもらおうとせず、一部の感情だけでも共有する
・助けてもらうだけでなく、一緒に乗り越える姿勢を持つ
無理にすべてを説明する必要はありません。信頼できる人と少しでも気持ちを分かち合うことで、精神的な負担を軽減できます。
7.トラブルを避けて気持ち良く退職しよう

退職は新たなキャリアへの大切な一歩です。トラブルに直面しても、法律で保障された「退職の自由」を理解し、適切な対応をすれば必ず解決できます。証拠の確保、専門家への相談、冷静な対応を心がけることで、自分の権利を守りましょう。また、退職は罪悪感を抱くことではなく、自分のキャリアを大切にする前向きな選択です。この記事を参考に、後悔のない円満退職を実現し、次のステージに向かって堂々と歩み出してください。