仕事を辞めたいと思っていても、パワハラや引き留めが心配で直接言い出せないなど心配を抱えている方は少なくありません。そんな方々の間で注目を集めているのが「退職代行サービス」です。
本記事では、退職代行サービスの基礎知識から選び方、利用時の注意点まで、実際の利用に役立つ情報を徹底解説していきます
- 退職代行サービスの料金相場と選び方の具体的なポイントについて
- 弁護士系、労働組合系、民間系の違いと各メリット・デメリットについて
- 退職完了までの流れと、失業保険申請などの具体的な手続き方法について
1.退職代行サービスとは?初めての方向けの基礎知識
退職代行サービスとはどんなものなのかを解説します。初めての方でもわかりやすい内容になっているので、まずは退職代行サービスについて知ってみましょう。
退職代行サービスの仕組みと主なサービス内容
退職代行サービスとは、会社への退職の意思表示や必要な手続きを代行してくれるサービスです。
主なサービス内容
- 会社への退職意思の伝達
- 退職に必要な書類の作成・提出のサポート
- 会社とのやり取りの代行
サービスの形態は大きく分けて3種類存在しています。それぞれ提供できるサービスの範囲や対応力が異なるため、自分の状況に合わせて選択することが重要です。
・法律事務所(弁護士)が運営 | ・労働組合が運営 | ・民間企業が運営 |
法的なサポートが可能 | 団体交渉権を生かした交渉が可能 | 基本的なサービスが受けられる |
仕事を辞めたいときは焦らずに自身の状況を確認する
退職を考える自身の状況をしっかり把握しておくことが大切です。退職代行サービスに求めるサポート内容を明確にすることで、スムーズかつ円満な退職が可能となります。
パワハラや残業代の未払いなど法的なトラブルを抱える場合は、法律事務所(弁護士)運営のサービスが安心です。また労働条件の改善などに関わる問題なら労働組合運営のサービスも検討すると良いでしょう。特にトラブルなどがない通常の退職であれば、民間企業運営のサービスだと料金も比較的リーズナブルです。
退職代行は、一言でいうと「退職手続きを代行してくれること」です。しかし、サービスの中身にはさまざま特徴があり、どのような種類があるのかを理解しておくことが、自分に合う退職代行を選ぶ秘訣です。私たち編集部が誰にでもわかりやすいようにまとめた「退職代行」の記事はこちらからご確認できます。
退職代行の料金相場と支払い方法
退職代行サービスの料金相場についてみていきましょう。基本料金は24,000~50,000円ほどの範囲で設定されており、平均的な料金は30,000円前後となっています。支払い方法はクレジットカード・銀行振込・コンビニ決済・一部のサービスでは分割払いにも対応しています。
料金は運営主体によって異なりますが、一般的な相場を確認しておきましょう。
弁護士運営 | 労働組合運営 | 民間企業運営 |
30,000~50,000円以上 | 24,000~35,000円程度 | 24,000~30,000円程度 |
多くのサービスでは、基本料金に退職の意思表示、基本的な書類作成、会社とのやり取り代行などが含まれています。
ただし有給休暇の消化交渉・未払い残業代の請求・退職金の交渉、引継ぎ書類の作成サポートなどは追加料金が必要となる場合があります。これから退職代行サービスの利用を検討している方は、基本料金に含まれるサービス内容と、追加料金が発生するケースをしっかり確認することが重要です。
退職代行サービスの金額は、サービスによって大きく異なります。安ければいいと言い切れないのが、退職代行サービスです。金額の相場に対して、安すぎる退職代行サービスは、口コミが悪い傾向にあります。どのサービスにするか決める前に、退職代行サービスの金額相場ぐらいは知っておくべきです。私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から割り出した、「退職代行の金額相場」はこちらからご確認できます。
2.退職代行サービスの選び方のポイント
実際に退職代行サービスを選ぶ際は、どのように選んでいくと良いかをポイントごとに解説しています。
弁護士・労働組合の関与を確認する
サービスを選ぶ際、最も重要なポイントは弁護士または労働組合の関与の有無です。法的な権限の違いとして、弁護士・労働組合は交渉権を持ち、給与や有給休暇に関する交渉が可能である一方、民間企業は退職の意思伝達以外の交渉は原則として行えません。
またトラブル発生時の対応力も大きく異なります。弁護士が関与している場合は法的問題への即時対応が可能です。労働組合が関与している場合は団体交渉権を活用した解決が可能となります。
企業側の受け止め方も変わってくる
◎弁護士・労働組合が関与している場合はより真摯な対応を引き出しやすい
料金体系の透明性を確認する
料金に関しては、いくつかしっかり確認しておきたい点を把握しておきましょう。
- 基本料金に含まれるサービスの範囲
- 追加料金が発生するケース
- 支払い方法の選択肢
- 返金保証の有無と条件
上記は必ず確認する必要があります。特に注意が必要なのは、極端に安価な料金設定(20,000円未満など)や、明確な料金表示がない場合です。また、途中で追加料金が発生する可能性がないかも慎重に確認すべきです。
利用者の口コミや評判をチェックする
サービスの信頼性を判断する上で、SNSでの実際の利用者の声・第三者レビューサイトでの評価・否定的な口コミの内容と対応・サービス運営年数などの情報を収集することもポイントとなります。
特に実際の退職完了までの期間・会社とのやり取りの質・カスタマーサポートの対応・トラブル発生時の解決事例などの点に注意して評判を確認すると良いでしょう。
退職代行サービスは、退職検討者の最後の砦ともいえます。そのため、サービスの特徴や料金だけではなく、実際に利用した方の口コミも事前に見てから、どの退職代行サービスにするか決めるべきです。私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から厳選した、「口コミの良い退職代行サービス18選」はこちらからご確認できます。
3.退職代行サービスを利用するメリット
退職代行サービスを利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。退職になかなか踏み切れない方には特に注目して欲しい内容となっています。
精神的な負担を軽減できる
退職代行サービスの最大のメリットは、精神的負担の大幅な軽減です。直接の対面コミュニケーションが不要となることで、例えば上司との気まずい対面・感情的なやり取りなどのリスクを回避することが可能となります。引き留めに対する心理的プレッシャーからも解放されます。
また、メンタルヘルスの保護という面でも大きな効果があります。
退職に伴うストレスの軽減や心理的な安心感を得られる
- 既に精神的に疲弊している場合の負担を減らす
- うつ病や適応障害の症状悪化を防止する
- 退職プロセス全体のサポートをしてくれるため不安が解消される
- 退職後の生活を前向きに考えられる
専門家のサポートで法的トラブルを防げる
専門家による適切なサポートにより、法的なトラブルを未然に防ぐことができます。適切な退職手続きの実施として、法律に則った手続きの徹底・必要書類の適切な作成と提出・退職時期の適切な設定が行われます。
また、権利の適切な主張として、未払い残業代の請求、有給休暇の消化、退職金の確実な受け取りなども支援してもらえます。
参考:厚生労働省 労働基準法
スムーズな退職手続きが可能になる
退職のプロフェッショナルによる代行により、効率的な進行が可能になります。経験豊富な専門家による適切な段取り・必要な手続きの漏れを防止・時間的なロスの最小化が実現できます。
また確実な手続き実施として、各種書類の適切な準備と提出・会社とのやり取りの記録保持・退職条件の明確な取り決めが行われます。
退職代行サービスのメリットは、利用する人によっても異なります。退職代行を利用することによって、どのようなメリットが自分にがあるのかを確認した上で、検討することをおすすめします。私たち編集部が誰にでもわかりやすいようにまとめた「退職代行のメリット」の記事はこちらからご確認できます。
4.退職代行サービス利用時の注意点
退職代行サービスを利用する際は、どんな点に注意すれば良いかをまとめています。注意点も知っておくとより退職代行サービスの利用がしやすくなるでしょう。
即日退職のリスクと対処法を知っておく
即日退職には重要なリスクが存在します。法的リスクとしては、民法上の損害賠償請求の可能性や就業規則違反となるケースなど。さらには懲戒解雇となるリスクが挙げられます。
これらのリスクに対する対処法としては、パワハラや健康上の理由などの正当な理由を明確化することが重要です。また可能な限り法定の退職予告期間である2週間を遵守すること・弁護士監修のサービスを選択すること・そして退職理由の適切な文書化を行うことが推奨されます。
会社からの直接連絡への対応方法を確認しておく
会社から直接連絡が来る可能性は十分にあります。想定される連絡としては、退職の意思確認や引き継ぎに関する問い合わせ、上司からの説得の試みなどが考えられます。
上記のような場合の対応方法として、全ての連絡を退職代行業者に転送することをおすすめします。また、会社との直接対話は避け、必要に応じて着信拒否の設定を行うことも検討すべきでしょう。さらに、SNSアカウントのプライバシー設定の見直しも重要な対策となります。
引き継ぎ対応は慎重に行う
引き継ぎに関しては慎重な対応が必要です。基本的な対応として、可能な範囲での引き継ぎ文書の作成を行い、重要な業務情報を整理し、必要最低限の情報提供を行うことが求められます。
引き継ぎの際の注意点として、会社の機密情報の取り扱いには十分な配慮が必要です。また個人情報の適切な処理やデータの適切な引き渡し方法についても慎重に検討する必要があります。さらに、引き継ぎ不足による損害賠償リスクについても把握しておくことが重要です。
5.おすすめの退職代行サービス3選
ここではおすすめの退職代行サービスを厳選してご紹介します。ぜひ参考にして、自身の状況やニーズに合う退職代行サービスを選びましょう。
退職代行セカステ
セカステは、弁護士監修による法的保証があり、24時間365日の相談対応が可能な信頼性の高いサービスです。
- 料金:21,800円(キャンペーン価格などあり)
- 全額返金保証
サービス内容としては、LINEでの簡単相談・申し込みが可能で、退職後の転職サポートも付属しています。さらにメンタルケアサポートや給与交渉・未払い残業代請求にも対応している点が特徴です。
https://sekasute.jp/ 退職代行セカステ
退職代行Jobs
Jobsは、弁護士監修による安全性が確保されており、業界最安値水準の料金設定が特徴です。
- 料金:27,000円(限定割引などあり)
- 24時間対応が可能
サービスの特長として、即日対応が可能で手続き完了まで最短30分という迅速な対応が挙げられます。また豊富な支払い方法に対応しており、転職支援サービスとの連携も行っています。
https://www.jobs1.jp 退職代行Jobs
弁護士法人みやび
弁護士法人みやびは弁護士による直接対応が可能で、法的トラブルへの即時対応力が高いことが特徴です。
- 料金:27,500〜77,000円
充実したサポート内容として、退職交渉全般の代行はもちろん、残業代請求への対応やパワハラ・違法行為への対応、さらには退職後のアフターフォローまで提供しています。
https://www.miyabi-law.jp 弁護士法人みやび
退職代行サービスは、他にも多くのサービスがございます。私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から厳選した、「おすすめの退職代行サービス10選」はこちらからご確認できます。
6.退職代行サービス利用後の流れ
退職代行サービスを利用した「その後」はどのような流れになるのでしょうか。新たなステップを踏み出す期間として有効に過ごしていきたいものです。
退職手続きの完了確認をする
退職手続き完了の確認は非常に重要なステップです。
まず最初に、退職届の提出が完了したこと・会社からの受理確認を得ることが必要です。また、退職日が正式に確定したことと、退職金が対象となる場合はその支給確認も行う必要があります。
確認の必要な重要書類の例 | |||
退職証明書 | 離職票 | 源泉徴収票 | 健康保険資格喪失証明書 など |
上記の書類は今後の手続きや転職活動に必要となるため、漏れなく受け取ることが重要です。
失業保険の申請方法を確認する
失業保険(雇用保険)の申請には、具体的な手順に従う必要があります。まず会社から離職票を受け取り、その後ハローワークでの手続きを開始します。
申請の際には本人確認書類、マイナンバーカードまたは通知カードなどの必要書類を準備する必要があります。失業保険の手続きは生活の安定のために重要なため、退職後できるだけ早めに進めることをおすすめします。
次のキャリアに向けた準備をはじめる
新しいキャリアに向けた準備は計画的に進めることが重要です。まず優先して取り組むべきこととして、職務経歴書の更新があります。これまでの経験や実績を整理し、効果的にアピールできるよう準備しましょう。また退職理由についても整理しておく必要があります。面接などで質問された際に適切に説明できるよう、前向きな表現で説明できるように準備しておくことが大切です。
その他の重要な準備
- 転職サイトへの登録
- スキルアップのための計画立案 など
経済的な計画や休息も大切に
退職直後は十分な休養を取り、心身のリフレッシュを図ることも重要です。また失業保険受給期間なども考慮しながら、経済的な計画を立てることも忘れずに行いましょう。必要に応じて、キャリアコンサルタントなどの専門家に相談することも検討すると良いでしょう。
退職代行は、退職手続きを代行してくれるといっても、申し込みさえすれば、あとは何もやらなくていいわけではありません。「どのような流れで退職手続きが行われるのか」「自分は何をすればいいのか」を理解した上で、退職代行サービスを利用するようにしましょう。私たち編集部が誰にでもわかりやすいようにまとめた「退職代行の流れ」の記事はこちらからご確認できます。
7.退職代行サービスは仕事を辞めたい方の強い味方
退職代行サービスは、正しく選択し適切に利用することで、精神的な負担を抑えながら円滑な退職を実現できるツールです。
一方で、業者選びや手続きの過程では慎重な判断が必要です。自身の状況をよく理解した上で、信頼できるサービスを選択し、退職後の手続きまでしっかりと計画を立てるようにしましょう。退職代行サービスは新しいキャリアへの一歩を確実に踏み出す強い味方となってくれるのです。