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退職準備の完全マニュアル|円満退職への7つのステップを解説

退職を考えている方にとって、スムーズな退職準備は大きな関心事です。

退職への不安や、上司への伝え方、引き継ぎなど、さまざまな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、円滑な退職を実現するための7つのステップを網羅的に紹介します。

この記事を読んでわかること

  • 適切な退職のタイミングの見極め方
  • 上司への正しい退職の伝え方と引き留めへの対処法
  • 引き継ぎ、挨拶回り、手続きなど退職後の具体的アクション

この記事では、退職準備を進める上での工程を7つに分け、解説していきます。

退職準備 7つのステップとモデルスケジュール

STEP 1

退職の意思を固める

(目安:〜退職3ヶ月前)

STEP 2

適切なタイミングを見極める

(目安:〜退職3ヶ月前)

STEP 3

退職の意思を正しく伝える

(目安:退職の1.5〜3ヶ月前)

STEP 4

引き留めを上手にかわす

(目安:退職の1.5〜3ヶ月前)

STEP 5

誠実な引き継ぎを心がける

(目安:退職の1ヶ月前〜)

STEP 6

社内外への適切な挨拶回り

(目安:最終出社日の1〜2週間前)

STEP 7

手続きを漏れなく完了する

(目安:最終出社日〜退職後)

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1.退職準備その1:退職の意思を固める(目安:〜退職3ヶ月前)

退職準備その1:退職の意思を固める

退職を決意するには、自分自身と向き合い、退職理由を明確にすることが大切です。

退職するべきか、あるいは異動希望を出すべきか悩むケースもあるでしょう。本章では、退職への覚悟を固める方法と、現実的な準備について解説します。

退職理由を明確化し、退職への覚悟を決める

退職を決意する際には、自分自身の中で退職理由をはっきりさせることが大切です。

キャリアチェンジ、ワークライフバランス、人間関係など、退職の動機を掘り下げるのがおすすめです。自分の意思を明確にすることで、退職への覚悟が固まります。

【上司にそのまま伝えられる退職理由テンプレート3種】

キャリアチェンジがしたい

今後のキャリアを見据えた時に、新しい領域への挑戦が必要だと感じています。現在の業務で培ったスキルを活かしつつ、さらなる成長を目指したいと考えております。これまでの経験を別の視点から捉え直し、新たな環境で自身の可能性を試してみたいと思います。

ワークライフバランスを重視したい

私生活においても新たなステージを迎え、仕事と家庭の両立を模索していく中で、現在の働き方を見直す必要性を感じました。より柔軟な勤務形態や、家庭により多くの時間を割けるような環境を求めて、新たな職場を探すことにしました。今後は、仕事と私生活のバランスを大切にしながら、充実したキャリアを築いていきたいと考えています。

人間関係

現在の職場環境において、自身の価値観とのずれを感じることが増えてまいりました。チームワークの重要性は理解しておりますが、業務への取り組み方や目指す方向性において、自分の考えとの相違が大きくなってきたと実感しています。新たな環境で、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨し、より良い仕事を生み出していきたいと考えるに至りました。

退職理由を上司に伝える際は、自分の中で明確にしておくことが大切ですが、具体的に言いすぎるとかえって反感を買う可能性もあります。

状況を見極めながら、適切な伝え方を選ぶことが賢明です。

また、退職届自体には「一身上の都合」と記載するだけで十分です。自身の退職理由を整理することと、それを上司にそのまま伝えるかどうかは別問題です。

会社との良好な関係を保ちつつ、円滑な退職プロセスを進めるためにも、伝える内容は慎重に吟味することをおすすめします。

経済面、キャリアプランなど現実的な準備も進める

退職後の生活や将来設計についても考えを巡らせてみてください。

まずは経済面の準備として、退職金の有無や金額を確認することが重要です。会社の規定や自身の勤続年数に応じて、退職金の金額が変わってきます。

失業保険(雇用保険)の受給条件や手続きについても事前に調べておきましょう。自身が受給できる期間や金額を把握し、退職後の生活資金の目安を立てることが賢明です。

さらに、転職活動に必要な費用も考慮に入れましょう。

転職に必要なコストの例

  • 履歴書の作成費用
  • 面接のための交通費
  • スーツ代など
  • その他自己分析・自己啓発などの費用(必要があれば)

求職活動には一定の出費が伴います。貯蓄の状況を見つつ、必要な資金を確保しておくことが大切です。

キャリアプランについても、中長期的な視点で検討するのがおすすめです。

次の職場で身につけたいスキルや、将来的に目指すべきポジションを明確にしておくことで、転職活動の方向性が定まります。

自身の強みと弱みを分析し、それらを活かせる業界や職種を探っていくことが大切です。必要に応じて、スキルアップのための講座受講や資格取得にも投資することを考えてみてください。

2.退職準備その2:適切なタイミングを見極める(目安:〜退職3ヶ月前)

適切なタイミングを見極める

退職のタイミング選びは、スムーズな退職プロセスの鍵を握ります。

本章では、適切な退職時期の見極め方や、タイミング選びの際に考慮すべき点を紹介します。

入社〇ヶ月は避ける。最低1年は務める

できれば入社直後の退職は控えるのがおすすめです。

短期間での退職は、履歴書上でもすぐ明らかになるため、会社への貢献度が低いまま退職をした、責任を全うしていないといった印象を与えかねません。

キャリアの観点からも、できれば最低1年は務めるのが望ましいとされています。

しかし、ハラスメントに遭っている場合や、精神的に追い詰められている場合、そのほか心身の健康に重大な影響を及ぼしている場合は、待ったなしということも考えられます。

その場合は、どうか無理をなさらず自分の心を守ってください。状況次第では、休職という選択肢もあります。

1年以内の退職はリスクもありますが、自分の心と相談して決めることが大切です。

プロジェクトの区切りや年度末が狙い目

退職のタイミングは、プロジェクトの節目や年度末が理想的です。

一連の業務に区切りをつけ、引き継ぎもスムーズに進めやすくなります。会社の繁忙期を避けるのも得策だといえます。

上司のスケジュールを考慮する

退職の申し出は、上司のスケジュールにも配慮が必要です。

多忙な時期や上司の海外出張中などは避け、落ち着いて話し合える時機を選ぶのがおすすめです。

大きなプロジェクトが動いているときや、期初、期末、繁忙期は避ける方が無難です。

直接面談する時間を確保するには、心に余裕を持った状態で話せるよう、週明けや週末を避け、業務にゆとりがある中日の午後などを狙うのがおすすめです。

最適なタイミングを見計らうことで、円滑なコミュニケーションが可能になります。

3.退職準備その3:退職の意思を正しく伝える(目安:退職の1.5〜3ヶ月前)

退職の意思を正しく伝える

退職の意思を上司に伝える際には、適切な方法とコミュニケーションが求められます。

本章では、退職の申し出における心構えと、円滑な伝達のためのポイントを説明します。

事前の根回し。「相談したいことがある」と切り出す

いきなり退職を切り出すのではなく、事前の根回しが肝心です。「相談したいことがある」と前置きをして、話し合いの場を設けてもらうのがおすすめです。

少しご相談したいことがあるのですが、少々お時間をいただけないでしょうか?

事前の声かけをすることで、上司側も「今日の午後は?」「明日の朝イチにしよう」「会議室を取るか?」など、相談の準備に動いてくれます。

忙しいときに本題を切り出すと、本気と受け取られなかったり、「まぁ頑張ってみたら」と簡単に流されてしまうおそれもあるのでご注意ください。

1対1の場を設定。「退職を考えている」と伝える

退職に関する相談は、個室など他者と離れた場所で、1対1で行うのが望ましいです。

上司との1対1ミーティングの場が設定されたら、「実は退職を考えています」とはっきりと切り出します。

真摯な姿勢で臨み、退職の意思をハッキリと伝えることが大切です。

前向きな退職理由を具体的に、感情的にならずに説明

退職の理由は、ネガティブな表現は避けて前向きに説明します。

「新しいチャレンジがしたい」「さらなるスキルアップを目指したい」など、建設的な理由を挙げましょう。感情的にならず、冷静沈着に話すよう心がけてください。

「何か不満があるのか?」「こちらにできることはないか?」といった優しい返答をいただけた場合も、退職をもう心に決めている場合は、今の職場に関する不満などをわざわざ言う必要はありません。

改善を求めないのであれば、関係性が悪くならないよう、もっとこんな経験を積みたいなど前向きな理由を述べて、「これは自分自身の問題です」とするのがおすすめです。

退職の意思を表す書類を用意する

退職願・退職届を準備・提出する

上司への相談を経て、退職日や最終出社日について大枠の合意が得られたら、就業規則の定めに従い、正式な書類として「退職願」または「退職届」を準備します。

「退職願」と「退職届」の違い

退職願…退職したいと考えておりますので、許可(合意)をお願いします」という、合意を願い出るための書類です。

退職届…「○月○日をもって退職いたします」という、確定的な退職の意思を通知するための書類です。提出され、受理された時点で労働契約の解約が申し込まれたことになり、原則として撤回はできません。

書面上は、自己都合退職の場合、理由は詳細を書く必要はなく、「一身上の都合により」と記載するのが通例です。

退職届の雛形

4.退職準備その4:引き留めを上手にかわす(目安:退職の1.5〜3ヶ月前)

退職の意思を正しく伝える

退職の意思を伝えると、引き留めに遭うことがあります。

「異動してみるのはどうか?」とか、「もし待遇が変わったら続けられるか?」など、こちらに寄り添う姿勢を表してもらえる場合もあれば、「無責任だ」、「後任が見つかるまでは辞めてもらっては困る」など、責められるケースもあります。

しかし、退職したい人にとってはこれらの反応はすべて本人の望まない「引き留め」でしかありません。

本章では、引き留めに対処する方法と、会社との良好な関係を保つためのコツを提示します。

「決意は固い」と伝え、曖昧な態度は取らない

引き留めの言葉には「退職する決意は固いです」とキッパリ。

曖昧な態度は逆効果なので、毅然とした姿勢を貫くのがおすすめです。反感を買わないよう、引き止めてくれた気持ちに対して感謝を述べることも大切です。

今回、退職するというのは、本当に悩んだ末の決断です。お言葉は大変ありがたいのですが、この決意は揺るぎませんので、どうかご理解いただけると嬉しいです。

退職理由を繰り返し、条件面の交渉には応じない

退職を申し出たあと、会社側がなんとか引き止めようと考える場合、上司だけでなく、さらに上の方から説得をされたり、人事との面談がセッティングされることもあります。その場合も、一貫して退職理由を繰り返し主張します。

もし、給与などの条件交渉を持ちかけられても、「そういった面が退職の理由ではありません」と、きっちりと線引きをすると、引き留めから逃れられるはずです。

新天地への意欲をアピールし、前向きな姿勢を見せる

退職の相談を通して「引き留めることはできない」と、上司に諦めて、別れを受け入れてもらうことも、大切な過程のひとつです。

今までお世話になったお礼を伝えるとともに、新しい環境に飛び込むワクワク感や、新たな仕事への挑戦意欲を積極的に語りましょう。

会社にはなんの恨みはなく、次のステージに向かう希望に満ちた態度を見せることが大切です。

5.退職準備その5:誠実な引き継ぎを心がける(目安:退職の1ヶ月前〜)

退職の意思を正しく伝える

退職前の引き継ぎは、後任者へのバトンタッチとして重要です。

本章では、引き継ぎ資料の準備方法と、円滑な引き継ぎのための心構えを解説します。

退職の相談をして了承いただけたら、「当たり前のことではございますが、引き継ぎはきちんと行いますので」とひと声かけることで、上司も安心します。

丁寧な引き継ぎをすることで、同僚からも恨まれずに済みます。

業務マニュアル、コンタクト先リストなど引き継ぎ資料を準備

業務の手順書やノウハウをまとめたマニュアル、社内外の連絡先一覧など、引き継ぎに必要な資料を入念に用意します。

【引き継ぎに必要な資料の一例】

資料名内容
業務マニュアル日常業務の手順や注意点をまとめたもの。定期タスクの内容と頻度も記載。
コンタクト先リスト社内外の関係者の連絡先一覧。名前、部署、役職、電話番号、メールアドレスなどを記載。
引き継ぎ事項リスト現在進行中のプロジェクトや課題の一覧。進捗状況、期日、優先度なども明記。
ファイル管理一覧業務に関連するファイルの保管場所や命名規則。クラウドストレージやネットワークドライブの構成も説明。
アカウント管理表業務で使用するシステムやサービスのアカウント情報。ログインIDやパスワードなどを安全に引き継ぐ。
年間スケジュール定例会議や報告の日程、イベントなどを記載。引き継ぎ後も滞りなく業務が進むように。
FAQ集よくある質問や問い合わせへの対処法をまとめたもの。困ったときに参照できるようにしておく。
役立つ資料やテンプレート業務で使える資料やフォーマットなど。効率化のためのひな型やサンプルを含める。

これらを渡すことで、後任者に安心して作業を進めてもらえるのはもちろん、退職後に「あの件ってどうだっけ?」と、会社から面倒な連絡が来る可能性をなくすことにもつながります。

引き継ぎ資料をそろえることは、退職者と後任者の双方にメリットがあるといえます。

口頭での説明を丁寧に行い、質問にも真摯に対応

資料を渡すだけでなく、口頭でも業務内容を詳しく説明しましょう。

相手からの質問には真摯に答え、疑問点を残さないよう徹底します。引き継ぎのためのミーティングの時間をしっかりと設けておくのがおすすめです。

そして、できれば重要な顧客には、後任者と一緒に足を運び、交代の挨拶とともに重要事項を口頭で再確認しておくとスムーズです。

会社と良好な関係を保ち、バトンタッチをスムーズに

引き継ぎ期間中は、会社との良好な関係性を保つことが何より大切です。もう辞めるから関係ない、という態度をとると、後々の関係に響きます。

引き継ぎの質は、自分の評価にも直結します。転職面接の際にリファレンスチェックが行われることもあるため、前職の方との関係には注意しましょう。

要注意!リファレンスチェック(前職調査)とは?

リファレンスチェックとは、転職先の企業が、前職の上司や同僚に対して、求職者の仕事ぶりや人柄を調査することです。前職の上司や同僚の評価が採用判断に影響するため、注意が必要です。

なお、リファレンスチェックの実施には、個人情報保護法の観点から、原則として本人の明確な同意が必要です。本人の知らないところで勝手に行われる心配はありません。

しかし、会社との良好な関係を保ち、円滑な業務移行を実現するためにも、引き継ぎは疎かにできない重要なプロセスなのです。

6.退職準備その6:社内外への適切な挨拶回りをする(目安:最終出社日の1〜2週間前)

社内外への適切な挨拶回りをする

退職の際は、社内外の関係者への挨拶が欠かせません。本章では、挨拶回りの進め方と、良好な関係を維持するためのコミュニケーション術を紹介します。

退職日を上司と相談の上、チームに報告

引き継ぎの目途が立ったら、退職日を上司と話し合って決定します。

退職までのスケジュールはチームメンバーにも報告して、引き継ぎのスケジュールを立てます。協力を得る必要があることもあるため、必ず感謝の意を伝えましょう。

お世話になった社内外の関係者へ丁寧に挨拶

社内の関係部署や取引先など、お世話になった方々へご挨拶に伺います。一人一人に感謝の気持ちを伝え、人脈の維持につなげましょう。

「大変お世話になりました」「今後ともよろしくお願いします」と、感謝と将来への期待を込めて挨拶します。SNSでのつながりを提案するのもおすすめです。

7.退職準備その7:手続きを漏れなく完了する(目安:最終出社日〜退職後)

手続きを漏れなく完了する

退職には各種手続きが伴います。本章では、退職前に完了すべき事務手続きと、計画的に進めるためのチェックリストを提供します。

有給休暇の計画的な消化を進める

残りの有給休暇は計画的に取得しましょう。必要な日数を上司に相談し、業務に支障のないスケジュールを立てます。

詳しくは手続き関係の章で別途解説しますが、有給休暇は必ずしもすべての日程を希望通り取れるとは限らないため注意しましょう。

社会保険や年金など、必要な届け出を行う

健康保険の任意継続や国民年金の手続きを怠りなく行います。

社内の担当部署に確認を取りながら、書類の提出を進めていきます。詳細は、次の項で詳しく紹介しますが、これらの手続きは、会社によって異なる部分もあります。

退職前に、人事部門や社会保険労務士に確認し、漏れのないように進めることが大切です。

貸与品の返却、債権債務の清算もしっかりと

退職時には、会社から貸与されている物品を漏れなく返却することが重要です。

社員証(IDカード)、制服、鍵、パソコン、携帯電話、駐車場の許可証など、自分が借りている物をしっかりと確認し、返却しましょう。

これらの貸与品を返却しないことは、窃盗や横領に当たる可能性があります。

会社の所有物を不正に占有することは、悪意がなくても罪に当たることもありますので、ご注意ください。

また、経費の精算や住宅ローンの引き落としなど、債権債務の処理も確実に行いましょう。

8.退職手続きの詳細と注意点

退職手続きの詳細と注意点

退職には各種手続きが伴います。本章では、前の章で触れた退職手続きに関する内容をもう少し詳しく紹介します。

退職前に完了すべき事務手続きと、計画的に進めるためのリストをご案内します。

【一般的な退職時に必要な手続きのリスト】

  1. 健康保険
    • 退職日から20日以内に、健康保険資格喪失届を提出
    • 任意継続被保険者制度や国民健康保険への切替えを検討
  2. 厚生年金保険
    • 会社が退職日から5日以内に、被保険者資格喪失届を提出
    • 年金手帳がある場合は返却を受ける
    • 基礎年金番号を確認しておく
  3. 雇用保険
    • 会社が退職日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届を提出
    • 離職票を受け取り、失業給付の受給手続きを検討
  4. 住民税
    • 退職年の翌年の住民税は、1月から退職月までの給与所得に応じた金額を納付
    • 普通徴収(個人納付)への変更手続きを確認
  5. 所得税
    • 源泉徴収票を受け取り、確定申告の必要性を確認
    • 退職金がある場合、退職所得の計算方法と税率を確認
  6. 国民年金
    • 厚生年金保険から脱退後、国民年金に加入
    • 必要に応じて、国民年金の免除申請や付加保険料の納付を検討
  7. 健康診断
    • 会社が実施する定期健康診断の時期が退職前にあたる場合は、受診を検討しましょう。

詳しくみていきます。

社会保険・雇用保険の手続き

健康保険や厚生年金の資格喪失手続きは、退職日から5日以内に完了します。

雇用保険の離職票は、退職後に会社から交付されます。手続きに必要な書類を事前に確認し、スムーズに進めましょう。

2010年1月以降、年金手帳は発行されなくなりました。年金手帳に代わるものとして、基礎年金番号通知書が交付されています。

有給休暇の計算と取得方法

退職日までの有給休暇の残日数を正確に把握します。

取得していない有給は、退職日までに計画的に消化するのが賢明です。上司と相談し、業務に支障のないスケジュールを立てましょう。

【有給を取得しながら退職するスケジュールの例】

時期内容
退職2ヶ月前有給休暇の残日数を確認し、上司と相談の上、引き継ぎに影響のない範囲で有給消化の計画を立てる。
退職2ヶ月前〜退職1.5ヶ月前引き継ぎ業務を進めながら、計画的に有給休暇を取得する。
退職1.5ヶ月前〜退職1ヶ月前引き継ぎ業務を集中的に行う。必要に応じて、有給休暇を調整。
退職1ヶ月前〜退職20日前残りの有給休暇を集中的に消化。引き継ぎ業務の完了を目指す。
退職20日前〜退職10日前後任者への引き継ぎが完了次第、有給休暇を取得。必要に応じて、最終出社日を調整。
退職10日前〜退職当日有給休暇を完全に消化。最終出社日は、挨拶回りや事務手続きもあるため注意。

有給休暇は、労働基準法第39条で定められた労働者の権利です。年次有給休暇の日数は、勤続年数に応じて最大20日まで付与されます。

労働者は、原則として自由に有給休暇を取得することができます。ただし、退職日直前にまとめて有給休暇を取得することについては、注意が必要です。

労働基準法第39条第5項
使用者は、前項の規定による請求があった場合においては、請求に係る時季に年次有給休暇を与えなければならない。ただし、請求された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる

有給休暇の取得は労働者の権利ではあるものの、取得希望した時期が事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時期に与えることができると規定されているのです。

参考:労働基準法第39条第5項 e-GOV法令

そのため、上司とスケジュールを相談しながら計画的に消化することが求められるのです。

住民税の精算方法

退職時には住民税の精算が必要です。普通徴収(個人納付)に切り替わるため、自治体からの通知に従って納付します。年度途中の退職では、月割計算で精算されます。

転職する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 転職先での特別徴収と重複徴収:重複して徴収された場合は、自治体に申告し、精算や還付を受けます。
  • 転職先での申告:前職での住民税の納付状況を正確に伝え、二重払いや過少納付を防ぎます。
  • 自治体への連絡:居住地が変更になる場合は、旧居住地と新居住地の両方の自治体に連絡します。
  • 年末調整での調整:前職分の住民税の納付状況を正しく申告し、過不足の調整を行います。

転職時の住民税の取り扱いは、自治体の指示に従いつつ、前職と転職先での手続きを適切に行うことが重要です。

不明点は、自治体の税務担当部署や転職先の人事部門に確認しましょう。

所得税の取り扱い

退職金がある場合、所得税が課税対象になります。

退職所得の計算方法と税率を確認し、必要な申告を行います。退職金の受取時期により、税額が変わることにも注意しましょう。

健康診断・年金手帳の扱い

会社が実施する定期健康診断の時期が退職前にあたる場合は、受診を検討しましょう。

自己負担なしで受診できるので、積極的に活用しましょう。年金手帳は、退職後も大切に保管します。転職先での年金加入に必要です。

9.退職は終わりではなく、はじまり

退職は終わりではなく、はじまり

退職はゴールではなく、新たなキャリアの始まりです。

手続きを着実に進めながらも、希望に満ちた未来を思い描きましょう。最後まで誠実な態度を貫き、周囲への感謝を忘れずに。

退職を自分で言い出しにくい方は、退職代行に依頼するという方法があります。退職代行を使った退職の流れを確認したい方は、こちらの記事もご参照ください。

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