退職代行サービスは、会社を退職したい人に代わって退職の意思表示や手続きを代行する専門サービスとして注目を集めています。
特にパワハラや過重労働に悩む方・退職を切り出せない方にとっては、心強い味方となっているサービスです。本記事では、退職代行サービスの選び方から料金相場、実際の利用手順まで、徹底的に解説します。
- 退職代行サービスの3つの運営主体の特徴と選び方について
- 具体的な料金相場と各社のサービス内容の違いについて
- 退職代行サービス利用から退職完了までの具体的な流れと注意点について
1.退職代行サービスとは
退職代行サービスは、会社を退職したい人に代わって退職の意思表示や手続きを代行する専門サービスです。近年、ブラック企業やパワハラ問題が社会的な課題となる中で、自分では退職を切り出せない人々を支援する重要な選択肢として注目を集めています。
辞表作成から提出までをプロが全面サポート
退職代行サービスでは、退職に関わる一連のプロセスを専門家が全面的にサポートします。まず適切な文面での退職届の作成から始まり、法的要件や必要事項のチェックまでを丁寧に行います。
また会社との連絡においては、退職の意思表示から退職日程の調整、必要書類の確認と手配まで、すべての交渉を代行します。
さらに万が一のトラブル発生時の対応まで見据えたサポートを提供します。各種書類についてなど煩雑な事務作業を専門家が代行することで、精神的な負担を軽減しながら、スムーズな退職を実現することができます。
3つの運営主体から自身の状況に合わせて選べる
退職代行サービスは、主に3つの運営主体によって提供されています。自身の抱えるトラブルや状況などに応じた業者選びをすることがポイントとなります。
一般企業による退職代行
退職の意思表示や書類作成支援を中心とした基本的なサービスを、比較的リーズナブルな価格(20,000~30,000円程度・オプションなどに注意)で提供しています。通常の退職手続きのみ必要な場合に適しています。
労働組合による退職代行
労働組合は法的な交渉権を持っているため、退職交渉や労働条件の調整まで踏み込んだ対応が可能です。料金は中程度(25,000~40,000円程度)で、多少の交渉が必要なケースに向いています。
法律事務所による退職代行
最も強力な法的サポートを提供し、法的交渉から賠償請求、労働問題への対応まで、幅広いサービスを提供します。料金は比較的高額(50,000円以上)ですが、深刻なトラブルがある場合や、パワハラ・違法行為への対応が必要な場合、金銭的な請求を伴う場合などに特に効果を発揮します。
自身の置かれている状況を冷静に分析し、最適なサービスを選ぶことで、より確実な退職が実現できます。
退職代行は、一言でいうと「退職手続きを代行してくれること」です。しかし、サービスの中身にはさまざま特徴があり、どのような種類があるのかを理解しておくことが、自分に合う退職代行を選ぶ秘訣です。私たち編集部が誰にでもわかりやすいようにまとめた「退職代行」の記事はこちらからご確認できます。
2.退職代行サービスの選び方
退職代行サービスの選択は、その後の退職プロセスを大きく左右する重要な決断です。信頼できるサービスを選ぶことで、安全かつスムーズな退職が実現できます。ここでは、重要な選択ポイントについてくわしく解説していきます。
弁護士監修を選んで安全な退職へ
弁護士が監修する退職代行サービスを選ぶことで、法的な側面での安全性が大きく向上します。弁護士法に準拠したサービス提供が保証され、非弁行為(違法な法律事務)を防止できるとともに、労働関連法規への確実な対応が可能となります。
またトラブルが発生した場合の対応力も大きな特徴です。法的な交渉が必要になった際の即時対応や、会社からの不当な要求に対する法的防御、さらには損害賠償請求などへの適切な対処まで、幅広いサポートを受けることができます。
専門的なアドバイスという面でも、労働法に基づく適切な助言や退職時の権利関係の説明、将来的なリスクの予防策の提示など、総合的なサポートを受けることができるのです。
料金の透明性を重視した信頼できる業者を選ぶ
信頼できる退職代行業者を見分ける重要なポイントとして、料金体系の透明性があります。基本料金の明示はもちろん、オプションサービスの料金内訳や追加料金が発生する条件などが明確に説明されている業者を選ぶことが重要です。
支払い条件の透明性も重要で、前払いや後払いの選択肢、分割払いの可否、返金保証制度の有無なども確認が必要です。
サービス内容と料金の対応関係も明確である必要があります。
- 基本サービスの具体的な内容(どこまでやってもらえるのか)
- 追加オプションのくわしい説明、
- 保証内容の具体的な記載
上記についても明確に示されているかどうかをチェックしましょう。
アフターフォローまで充実した業者を選ぶ
退職後のサポートも、業者選びの重要な判断基準となります。まず退職後の手続きサポートとして、失業保険の申請支援や各種証明書の取得補助、社会保険の切り替え案内などが充実しているかを確認します。
メンタルケアの提供も重要な要素です。専門カウンセラーの紹介や相談窓口の継続利用、ストレスケアのアドバイスなど、心理面でのサポートが充実している業者を選ぶことで、退職後の精神的な不安を軽減することができます。
さらに、キャリア支援の面でも、転職エージェントの紹介や職務経歴書作成支援、面接対策アドバイスなど、次のステップに向けたサポートが充実している業者を選ぶことが望ましいでしょう。
業者選びの際は総合的に判断することが重要です。
私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から厳選した、「おすすめの退職代行サービス10選」はこちらからご確認できます。
3.主要な退職代行サービスの料金比較
退職代行サービスを選ぶ際、料金は重要な判断基準の1つとなります。ここでは、業界の料金相場や主要サービスの料金体系、保証内容について解説していきます。
一般的な料金相場は20,000~50,000万円程度
退職代行サービスの料金は、運営主体によって異なりますが、一般的な相場は明確な範囲に収まっています。
退職代行サービスの標準的な料金体系 | |
民間企業が運営するサービス | 20,000円から30,000円程度 |
労働組合が運営するサービス | 25,000円から40,000円程度 |
弁護士が運営するサービス | 50,000円以上 |
これらの料金は、提供されるサービスの範囲によって変動します。
基本的な退職代行のみを行う場合は最低価格帯となりますが、交渉業務が含まれる場合や法的サポートが必要な場合は、それに応じて料金が上昇します。また、対応の緊急性も料金に影響を与える要因となっており、即日対応や休日・夜間対応では追加料金が発生することが一般的です。
退職代行サービスの金額は、サービスによって大きく異なります。安ければいいと言い切れないのが、退職代行サービスです。金額の相場に対して、安すぎる退職代行サービスは、口コミが悪い傾向にあります。どのサービスにするか決める前に、退職代行サービスの金額相場ぐらいは知っておくべきです。私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から割り出した、「退職代行の金額相場」はこちらからご確認できます。
各社の料金プランと保証内容をご紹介
いくつかの退職代行サービスの料金やプラン内容をご紹介します。基本保証事項としては、退職意思の確実な伝達、必要書類の作成支援、会社とのやり取り代行が含まれています。さらに、オプショナル保証として即日退職対応、有給休暇消化交渉、退職金の請求サポートなどが用意されており、必要に応じて追加することが可能な場合が多くなっています。
「退職代行Jobs」
- 基本料金:24,800円(全額返金保証)
- 弁護士監修による安心感を特徴としています。
「退職代行ガーディアン」
- 基本料金:24,800円
- 退職完了保証・即日対応が可能となっています。
「退職代行オイトマ」
- 料金:24,000円(業界最安値級)
- 全額返金保証を提供しています。
料金プランの選び方は、退職者の状況によって異なります。通常の退職であれば、基本プランで十分対応可能です。ただし、急を要する場合は即日対応プランを、トラブルが予想される場合は弁護士サポートプランを選択するなど、状況に応じた適切な選択が重要となります。
費用隊効果を高めるために
事前相談を積極的に活用することをおすすめします。多くの業者が提供している無料相談を利用して、サービス内容の詳細確認や追加料金の有無を確認することで、予想外の出費を防ぐことができます。また、返金保証の条件や成功報酬の詳細、アフターフォロー期間についても、事前に十分な確認を行うことが重要です。
4.退職代行サービスの利用手順
退職代行サービスを効果的に利用するためには、適切な手順を理解し、各ステップで必要な準備を行うことが重要です。ここでは、サービス利用開始から退職完了までの具体的な流れについて詳しく解説していきます。
無料相談から契約までの流れ
無料の初期相談がはじめのステップです。無料相談では、LINE、電話、メールなど、利用者が最も話しやすい方法を選択することができます。相談では、退職を考えている理由や職場での問題点、希望する退職時期などについて、くわしく説明することになります。
初期相談の後は、具体的なサービス内容の確認に移ります。
基本サービスの確認について
- 退職意思の伝達について
- 書類作成支援
- 会社とのやり取りの範囲を確認する
また即日対応の要否や法的サポートの必要性、アフターフォローの範囲など、オプションサービスについても検討を行います。
最後の契約手続きでは、本人確認書類や雇用契約書のコピー、給与明細などの必要書類を準備します。また、契約内容の最終確認として、サービス内容や料金内訳、キャンセル規定などについても、慎重に確認を行います。
支払い方法の選択も重要
一括払い、分割払い、後払いなど、複数の選択肢の中から自身の状況に最適な方法を選びます。この際、緊急対応費用やオプションサービス料、保証料金など、追加料金が発生する可能性がある項目についても、くわしく確認することが重要です。
実際の退職までのタイムライン
退職代行サービス契約後は、具体的な退職プロセスが始まります。状況によっては全てが以下のような流れとはいかない場合もありますが、おおよそのタイムラインを解説していきます。
契約当日
詳細なヒアリングが実施され、退職希望日の確認や会社の状況確認、特別な要望の確認などが行われます。同時に、退職届の作成も開始され、必要事項の収集や文面の確認、修正対応なども行われます。
契約から2~3日目
会社への初回連絡が行われます。この段階で、退職の意思表示や退職日の提案、必要書類の確認などが行われ、担当者からは会社の反応や今後の進め方、必要な対応についての報告が行われます。
契約から4~7日目
退職条件の調整が本格化します。退職日の確定や有給休暇の処理、引継ぎ方法の確認などが行われ、同時に社会保険関係や給与精算、退職金手続きなどの各種手続きも開始されます。
退職日間近
必要書類の準備や会社備品の返却、引継ぎ資料の確認など、最終確認事項の調整が行われます。そして、退職届の提出、離職票の受け取り、最終給与の確認などの退職手続きが完了します。
退職後
源泉徴収票や雇用保険関係書類、年金手続き書類などの各種書類の取得支援が継続されます。さらに転職相談や失業保険の申請支援、会社からの連絡対応など、アフターフォローも提供されます。
退職代行は、退職手続きを代行してくれるといっても、申し込みさえすれば、あとは何もやらなくていいわけではありません。「どのような流れで退職手続きが行われるのか」「自分は何をすればいいのか」を理解した上で、退職代行サービスを利用するようにしましょう。私たち編集部が誰にでもわかりやすいようにまとめた「退職代行の流れ」の記事はこちらからご確認できます。
5.退職代行サービス利用者の声
実際に退職代行サービスを利用した方々の体験談を通じて、サービスの実効性や利用価値について具体的にみていきましょう。さまざまな職場環境や状況下で例を通じて、退職代行サービスがどのように問題解決に貢献したのかをご紹介します。
メンタル疲労からの解放を実現した体験談
職場でのストレスや精神的な負担から解放された具体的な事例を3つご紹介します。
20代後半の女性Aさんの体験
Aさんは上司からのハラスメントで鬱気味になり、自力での退職を試みましたが聞き入れてもらえない・退職を受け付けてもらえないという状況が続いていました。退職代行を利用したことで、想像以上にスムーズな退職を実現でき、日々の精神的なストレスから解放されることができました。
30代前半の男性Bさんの体験
残業が多い職場で心身ともに限界を感じていたBさんは、退職代行サービスを利用することにしました。会社との交渉などを全て依頼できたおかげで有給休暇を全て消化しながらスムーズな退職を実現できました。本人の精神状態を考えると、代行サービスの利用は最適な選択だったと振り返っています。
30代後半の女性Cさんの体験
セクハラ問題で職場の雰囲気が最悪だったCさんは、周囲に相談しても理解が得られない状況に苦しんでいました。退職代行サービスを利用することで、直接の接触を避けながら退職を実現でき、精神的な負担が大きく軽減されたと話しています。
スムーズな退職を実現できた成功事例
なかなか退職を言い出せない、実行に移せないなどが悩みだった方の例を3つご紹介します。
20代後半の男性Dさんの体験
退職の意思表示をしても引き留めに遭っていたDさんは一度退職を申し出たものの、1ヶ月後に再度話し合おうと言われ、その後も進展がない状況が続いていました。退職代行に依頼したことで、専門家による適切な交渉が行われ、明確な意思表示と期限を定めた対応により、すっきりとした形で退職を実現できました。
30代前半の女性Eさんの体験
条件の良い転職先が決まっていたにもかかわらず、現職場での人間関係から退職を言い出せずにいたEさん。退職代行サービスを利用することで、気まずい雰囲気を避けながら円滑に退職することができました。心理的負担を最小限に抑えながら、理想的なタイミングでの転職を実現できたのです。
40代前半の女性Fさんの体験
いわゆるブラック企業で退職を願い出ても全く聞いてもらえなかったFさん。退職代行サービスを利用したことで、未払い給与の回収まで含めて対応してもらえ、清々しい気持ちで退職を実現できました。Fさんのケースでは、法的問題への対応や権利の適切な主張、金銭的問題の解決など、包括的なサポートが提供されました。
退職代行サービスを利用することでさまざまなメリットが生まれる
退職代行サービスの利用によってストレスや不安の軽減、自己肯定感の回復といった精神的なメリットが得られることが分かります。また、確実な退職の実現や権利の適切な確保、トラブルの防止といった実務的なメリットも大きいことが示されています。
さらに新たな一歩を踏み出せる心理的な余裕が生まれ、前向きな転職につながるといった、今後のキャリアへの好影響も報告されています。
退職代行サービスは、退職検討者の最後の砦ともいえます。そのため、サービスの特徴や料金だけではなく、実際に利用した方の口コミも事前に見てから、どの退職代行サービスにするか決めるべきです。私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から厳選した、「口コミの良い退職代行サービス18選」はこちらからご確認できます。
6.退職代行サービス利用時の3つの注意点
退職代行サービスを利用する際には、いくつかの重要な注意点があります。適切に対応することで、トラブルを防ぎ、円滑な退職を実現することができます。ここでは、特に重要な注意点についてくわしく解説していきます。
適切な引継ぎ期間を設定する
引継ぎに関する適切な対応は、退職後のトラブル防止において非常に重要な要素となります。
まず法的な観点から見ると、民法上では2週間前の退職告知が原則とされています。しかし実際の引継ぎ期間については、就業規則や契約書上の規定も確認する必要があります。
実務的な観点からの注意ポイント | 引継ぎ方法についての注意ポイント |
後任者の有無 | 対面やリモートでの直接説明の必要性 |
繁忙期と自身の希望退職時期の兼ね合い | 業務マニュアルの作成の必要性 |
業務の複雑さを考慮しておく | 申し送り事項の文書化の必要性 |
状況に応じた適切な方法を選択することが重要です。
また特に注意すべき点として、引継ぎ内容の文書化やメールでの確認、上司の承認取得など、記録を適切に保管することが後々のトラブル防止につながります。
退職金や有給休暇の取り扱いに注意する
金銭的な権利を適切に確保するためには、まず退職金に関する詳細な確認が必要です。支給条件として、勤続年数要件や退職理由による影響、支給時期などを事前に確認しておくことが重要です。
また、退職金の計算方法についても、基本給との関係や勤続年数の反映方法、控除項目の有無など、細かい点まで確認が必要です。
有給休暇については、残存日数の正確な把握が重要です。具体的には、付与日数や使用済み日数、前年からの繰越分などを確認します。また、有給休暇の買取制度がある場合は、その計算方法や課税関係についても確認が必要です。
参考:厚生労働省 第8章退職金
トラブル回避のための対策を知る
退職に際して発生する可能性のある法的リスクへの対応も重要です。特に守秘義務に関連して、情報漏洩の防止や競業避止義務の確認、SNSでの発信には細心の注意が必要です。
また急な退職による影響や業務引継ぎの不備、会社資産の取扱いについても、損賠償リスクを考慮した慎重な対応が求められます。
トラブル防止のために以下についても考えておきましょう。
- 必要書類の複写保管
- メールのバックアップ
- 重要書類の整理
- 書類の適切な管理
- 退職代行との連絡記録
- 会社からの連絡への対応方法
- 同僚との関係維持
退職後の対策としては、社会保険の切り替えや年金の継続手続き、住所変更手続きなど、各種手続きを漏れなく行うことが重要です。また、源泉徴収票や雇用保険被保険者証、年金手帳などの必要書類は確実に確保しておく必要があります。
参考:経済産業省 不正競争防止法 厚生労働省 離職されたみなさまへ
予防的な対応もしておく
労働条件の記録や給与明細の保管、勤務時間の記録など、重要な記録は日頃から適切に保存しておくことをお勧めします。また、必要に応じて労働組合への相談や専門家への相談、行政機関の活用など、相談窓口を確保しておくことも有効です。
7.退職代行サービスを利用してスムーズで安心した退職へ
退職代行サービスは、適切に利用することで精神的な負担を軽減しながら、スムーズな退職を実現できる有効な手段です。サービスを選ぶ際は、自身の状況に合わせて運営主体を選択し、料金やサポート内容を十分に確認することが重要です。信頼できる業者を選び、必要な準備を整えることで、安全で確実な退職が実現できるでしょう。