「退職代行を使う場合、あと3日間有給休暇が残っていて、消化した上で退職できますか?」
「退職代行サービスを使ったら、有給休暇の消化を会社側から拒否されたという話を聞きました」
上記のように、退職代行を使っても有給休暇の消化を使えるのかどうか、知りたいという方はぜひ参考にしてみてください。
- 退職代行を使ったら、有給休暇って消化させてもらえないの?
- 有給休暇を消化しながら退職代行を使う流れについて
- 有給休暇の消化の交渉をしてくれる対象代行サービス
1.退職代行でも有給休暇は消化できる?
「退職代行を利用しても、残っている有給休暇を消化できるのか」といった疑問をもつ方は少なくありません。結論から言えば、退職代行を利用しても有給休暇は消化はできます。以下では有給休暇を消化できる理由について、わかりやすく解説します。
退職代行サービスでも有給休暇の消化は可能
有給休暇の消化は、労働基準法で定められた労働者の権利であり、原則会社は拒否できません。そのため、退職代行を利用して退職日まで有給休暇を消化して過ごすことは可能です。
ただし、会社が有給休暇の消化を拒否するケースもあります。このような場合、民間の退職代行業者は、退職や有給休暇を消化したい意思を「伝える」ことはできても、企業と「交渉」することは、法律で禁止されています。
このような交渉が必要な場合には、企業と退職に関する交渉ができる弁護士や労働組合が運営する退職代行業者を選ぶ必要があります。
有給消化は労働者の権利
そもそも有給休暇の消化とは、年次有給休暇を取得することであり、労働基準法によって労働者の権利として認められています。そして年次有給休暇の発生要件と付与日数は、労働基準法第39条によって定められています。
年次有給休暇が付与されるのは、以下の2つを満たした場合のみです。
1.雇い入れの日から6カ月間、継続して勤務していること
2.その期間の全労働の8割以上出勤していること
そして年次有給休暇は、6カ月以降1年ごとに勤続年数に応じた日数が付与されます。一般的な正社員の場合、年次有給休暇の付与日数は以下の通りです。
6カ月 | 10日 |
1年6カ月 | 11日 |
2年6カ月 | 12日 |
3年6カ月 | 14日 |
4年6カ月 | 16日 |
5年6カ月 | 18日 |
6年6カ月 | 20日 |
なお、取得しなかった有給休暇は、翌年度に繰り越せます。
参照元:労働基準法「e-Gov法令検索」
2.有給休暇の消化交渉ができる退職代行の選び方
ここでは、会社と有給休暇の消化交渉をしてくれる、退職代行業者の選び方のポイントを紹介します。
依頼する退職代行が対応している範囲を確認する
退職代行業者の運営元は大きく分けて、民間企業、労働組合、法律事務所の3つです。
民間企業の退職代行は、安価で依頼できますが、企業に有給休暇の消化の意思を伝えることしかできず、企業との交渉は法律で禁止されています。
一方、労働組合は民間企業に比べて費用はやや高めですが、退職に関して会社と交渉が可能です。ただし、退職をめぐってトラブルが発生し、会社から訴訟を起こされた場合、対応できません。
弁護士が運営している退職代行は、費用はほかより高めですが、有給休暇の消化について会社と交渉が可能です。さらに残業代や未払い給与、退職金などの請求や、会社から訴訟を起こされた際も対応してくれます。
このように運営元によってサービス内容は大きく異なります。そのため、依頼する際は、運営元やサービス内容を必ず確認しましょう。
私たち『退職代行セカステ』は、退職検討の悩みを抱えている人の味方です。上記に記載されていないことでも、可能な限りサポートさせていただき、新しいキャリアを歩む勇気の必要な第一歩を並走いたします。
24時間365日対応できる体制を整えておりますので、「他社ではできないと言われたのだけど、こういうところまでサポートできますか?」というご相談がございましたら、下記からLINE追加をしていただければ、私たちからLINEにてご連絡させていただきます!
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料金だけにとらわれず質も重要視する
民間企業の退職代行は、安価な点が魅力的ですが、前述したようにサービス内容が限られます。特に、退職に伴う有給休暇の消化に対して拒否する会社が相手となると、期待していたサービスを受けられないかもしれません。
したがって、スムーズな退職を望むなら、費用面だけでなく、サービス内容の範囲や実績、評判、対応の丁寧さなども考慮して、自分に合った退職代行業者を選びましょう。
私たち編集部が2024年12月にリサーチした80個近い退職代行サービスの中から厳選した、「おすすめの退職代行サービス10選」はこちらからご確認できます。
3.【状況ごとの退職日】有給休暇が残っていれば出社不要で退職可能?!
退職代行を利用するにあたって、いつが退職日になるのか気になる方は多いはずです。ここでは状況ごとの退職日について解説します。
法律上は2週間後が最短
民法第627条では、会社と無期雇用契約を結んでいる正社員などは、最短2週間で退職できると定めています。そのため、最低2週間前までに、退職代行を通して会社に退職の意思を伝えれば、問題なく退職が可能です。
ただし、会社の就業規則によっては「〇カ月前に退職の申し出が必要」と定められていることがあり、円満退職を望むなら就業規則に従って、余裕をもって退職の意思を伝えましょう。
参照元:民法「e-Gov法令検索」
有給休暇を使って即日退職も可能
未消化の有給休暇が2週間以上ある場合、退職代行を利用して退職を申し出たその日から出勤することなく、実質的な即日退職が可能です。これは、前述したように従業員の有給休暇の取得は法律によって守られており、会社は原則従業員の有給休暇の取得を拒めません。
また、「有給休暇がない」もしくは「日数が足りない」といった場合でも、会社が欠勤と同等の扱いで処理してくれれば、即日退職はできます。ただし、会社に欠勤と同じ扱いで処理してもらうためには、交渉が必要になる可能性が高いです。
会社との交渉も退職代行に任せたい場合は、のちに問題にならないよう、弁護士が運営する退職代行に依頼するとよいでしょう。
退職代行サービスの特徴を見ると、「即日退職」と記載されているものが多くあります。厳密にいうと、「”即日”会社に行かなくていい」だけであり、本日退職手続きが完了するわけではありません。私たち編集部が誰にでもわかりやすいようにまとめた「退職代行を利用した即日退職」の記事はこちらからご確認できます。
やむを得ない事情がある場合は即日退職可能
民法第628条では、やむを得ない事情があるときは、即日での退職を認めています。たとえば、以下のような場合、2週間前に退職の意思を伝えずとも、即日退職が認められる可能性が高いです。
- 精神的、肉体的な病気で、継続的に働くのが難しくなった
- 家族が病気になった、介護が必要になった
- 職場でパワハラやセクハラなどを受けている
- 未払いの賃金や残業代がある
ただし、民法第628条には「やむを得ない理由」について明記されていません。そのため、自分の状況が該当するかわからない場合には、弁護士に相談できる退職代行を利用するとよいでしょう。
体調不良による欠勤を退職日まで続ける
病気やけがなどを理由に出勤が難しい場合、欠勤を理由に出勤せずに退職が可能です。
たとえば、雇用期間が定められていない正社員なら、会社に退職の意思を2週間前に伝え、そのまま欠勤扱いとなれば出勤せずとも2週間後には退職できます。
しかし、会社の就業規則によっては、体調不良による欠勤の場合、医師の診断書を提出するよう求めることがあります。万が一、正当な理由がなく、欠勤すると懲戒処分を受けたり、損害賠償を請求されたりする可能性があるので、注意が必要です。退職日まで欠勤扱いを続ける場合は、会社に伝える前に就業規則を確認しましょう。
4.有給休暇を消化しながら退職代行を使うときの流れ
退職代行を利用して有給休暇を消化しながら退職するとき、どんな流れで、何をすればよいのでしょうか。一般的な流れについて解説します。
流れ1|残りの有給休暇日数を確認
退職の手続きを進める前に、必ず残っている有給休暇の日数を把握しておく必要があります。有給休暇の取得は、労働者に認められた権利です。退職時に有給休暇を消化できなかったという事態を防ぐためにも、事前に日数を確認しておくことが大切です。
残りの有給休暇の日数はほとんどの場合、給与明細に記載されています。給与明細に記載されていない場合には、会社の労務担当者に問い合わせてみましょう。
このとき、スムーズに退職するために引き継ぎの資料を作成しておくと、退職時や退職後のトラブルを防げます。
流れ2|退職代行会社を探す・相談
残りの有給休暇の日数を確認し、具体的な退職日がある程度決まったら、退職代行業者を探します。一般的に退職代行は依頼後にキャンセルできないため、まずは相談サービスを利用しましょう。
相談サービスはほとんどの業者で無料のため、わからないことを相談するほかに、料金システムや支払い方法、退職までの流れ、会社と交渉できるかどうか、退職後のアフターサービスなど確認し、可能であれば複数の業者を比較しましょう。
このタイミングで、会社にある私物をできるだけ持ち帰る、もしくはダンボールなどにまとめておき、退職代行業者経由で会社から返送してもらいやすくしておきましょう。
流れ3|退職代行を依頼・入金→退職代行が退職の意思を伝える
業者を比較して自分に合うところを決めたら、連絡して依頼します。このとき、多くの業者ではヒアリングシートを用意しており、回答して情報を共有しながら打ち合わせを行います。打ち合わせ後、費用を支払います。入金が確認できたら退職代行業者は、依頼者の代わりに会社へ退職の意思を伝えます。
流れ4|退職届を出し、必要書類をもらう
会社との話し合いがまとまり、退職日が決まったら、退職届を提出します。退職日までの間は、さまざまな退職手続きを行うのが一般的です。
まず、会社から以下のような重要書類が届くため、必ず受け取りましょう。
- 離職票:失業保険の手続きに必要
- 健康保険資格喪失証明書:新しい健康保険に加入する際に必要
- 雇用保険被保険者証:失業保険の手続きに必要
- 源泉徴収票:年末調整や確定申告に必要
- 年金手帳や基礎年金番号通知書:国民年金の手続きに必要
これらの書類は、転職先などで必要になる書類です。会社から送られてこないケースもあるため、万が一に備えて、アフターフォローが充実している退職代行を選びましょう。
また、会社に返却すべきものがある場合は、まとめて郵送します。たとえば、会社のパソコンやスマートフォン、制服などです。貸与品を返却しないと、あとからトラブルになる可能性があるので、必ず返却しましょう。
流れ5|退職(有給休暇があれば出勤なしでOK)
退職届や会社の備品の郵送、必要書類や私物の受け取りが完了したら、あとは退職日を待つだけです。有給休暇が残っている場合、原則これらの退職手続きは郵送での対応となるため、依頼者は出勤せずに退職日を迎えられる可能性が高いです。
ただし、社宅や寮に住んでいる方は、原則として退職日に退去しなければならないため、できる限り余裕をもって退職日を決めましょう。
退職代行は、退職手続きを代行してくれるといっても、申し込みさえすれば、あとは何もやらなくていいわけではありません。「どのような流れで退職手続きが行われるのか」「自分は何をすればいいのか」を理解した上で、退職代行サービスを利用するようにしましょう。私たち編集部が誰にでもわかりやすいようにまとめた「退職代行の流れ」の記事はこちらからご確認できます。
5.退職代行で有給休暇が取れるか不安な方は
「会社がブラックで有給休暇が取れるかわからない」「有給休暇を消化したいと伝えたら、反論してくる可能性が高い」など、退職代行を利用して有給休暇を消化しながら退職できるか不安な方もいるでしょう。ここでは、退職代行を使って有給休暇を消化しながら退職するためのポイントを解説します。
会社が有給休暇の消化を拒みそうなら弁護士に頼む
会社が有給休暇の消化を拒否する可能性がある場合は、弁護士が運営する退職代行に依頼しましょう。担当するのが弁護士となれば、会社が反論してくる可能性は低く、仮にトラブルに発展しても労働審判や訴訟に移行できます。
特に、ブラック企業やパワハラが横行している職場では、会社が従業員の権利を侵害しているケースも少なくありません。このような場合、弁護士に依頼することで、法律に基づいた正当な権利を主張し、円満な退職を実現できる可能性が高いです。
弁護士に依頼しなくていい場合
一方、退職届をスムーズに受理してくれそうな会社であれば、必ずしも弁護士が運営する退職代行に依頼する必要はありません。
ただし、民間企業の退職代行は、退職を伝えることのみで、有給休暇の消化について交渉すると非弁行為になってしまいます。
できる限り退職代行を利用して有給休暇を消化しながら退職したいなら、退職に伴うトラブルを避けるためにも、やはり弁護士による退職代行に依頼すると安心です。
6.まとめ
有給休暇の取得は労働者の正当な権利ですが、退職時には会社側が拒否するケースもあります。その場合、交渉力のない退職代行サービスでは対応が難しく、不利な状況になりかねません。
確実に有給休暇を消化したいなら、法的交渉が可能な弁護士監修の退職代行サービスを選ぶことが重要です。退職時の権利をしっかり守りたい方は、信頼できる退職代行を利用して安心して退職手続きを進めましょう。